トラックではできないような飾りつけを展開!
まずは、デコチャリ。ベースとなっているのは自動車ではなくチャリンコ、そう自転車である。デコトラに刺激を受けたものの普通免許を取得できない年齢の少年たちが、自身の愛車である自転車を派手に飾り立てたのだ。その仕上がりはピンキリではあるが、バッテリーやエアホーンを装備するなど、本格的なデコチャリも昭和や平成初期の時代に数多く存在した。そして令和となった現代でも、デコチャリ文化は続いている。
次に乗用車。現代でもハイエースやキャラバンといったワンボックスカーをデコトラ風に飾った車両を見かけることがあるが、このようなスタイルは映画時代の1970年代から「デコバン」として存在した。つまり、れっきとしたデコトラの仲間なのである。
さらに、1970年代では日産510ブルーバードや三菱ジープを飾る人も存在したのである。こちらも全盛期から存在していたものであるため、デコトラという文化におけるひとつのカテゴリーであるといえるだろう。
デコチャリやワンボックスカー、そして乗用車をベースにトラック顔負けのデコレーションを車体に施し、またその形状を生かしてトラックではできないような飾りつけを展開するなど、彼らの作品はとても目を引く存在だった。車体は小さくとも、下手をすれば大型トラックに負けないぐらいのインパクトを放っていたようにも思える。乗用車を飾るケースは現代ではほんの少数派となっているが、それも時代の流れというものだろう。
個性に満ちていた昭和時代のデコトラたちは、ファンの間で神格化されている。妙な取り決めなどが存在しなかった時代だからこそ、トラックにこだわらず飾る人が続出したのだ。そんな過去の作品を見ながら、デコトラブームがどれほどアツかったのかを再確認してみたい。当時を知る人たちには懐かしさを、知らない人たちには衝撃を感じていただけたら幸いだ。