トラックドライバーの声を無視した国の愚策! 望んじゃいない「最高速度引き上げ」「時間外労働の短縮」じゃ物流問題は何も解決しないどころか悪化する!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トラックドライバーの時間外労働が960時間に制限された

■4時間以上走る場合30分休憩を取らなくてはならない「430規制」も適用されている

■これらの決まりがかえってトラックドライバーを悩ませている

時間外労働の制限は天下の愚策

 今年4月から、トラックドライバーの時間外労働が960時間に制限される規制などが適用される。その背景には、重大なトラック事故を減らそうという思惑があるのだろう。しかし、それは現場のことをなにも知らない国のお偉方が、安易な考えで決めたもの。当事者であるトラックドライバーにとっては、まさに天下の愚策とも思えてしまう。

 労働時間を短くすることで、ドライバーの肉体的負担負担を減らす。それが目的であるのはいうまでもないし、その発想自体は間違ってはいない。しかし、人手不足に悩まされているのが現代のトラック業界である。大型トラックには時速90km以上は出せなくなる速度抑制装置が義務付けされ、4時間走れば30分間の休息を取らなければならないという「430規制」も、すでに大型トラックのドライバーたちを悩ませている。そんななかで労働時間を短くすると稼ぎも少なくなるため、生活が立ちいかなくなるドライバーも増えてくることだろう。その結果、トラックを降りる人が増えることも想定される。そんな一連の流れを「物流の2024年問題」と呼ぶのだが、日本では今までどおりに荷物が届かなるということが懸念されているのだ。

 そんななか、労働基準監督署はトラックドライバーの待ち時間に着目した。荷主側に、ドライバーを待たせないように改善を呼びかけているのだ。運送会社やドライバーではなく荷主に改善を求めるという部分に関しては、運送業界にとってありがたいところ。筆者も過去にトラックを転がしていたが「7時間待ち」レベルの現場もザラにあった。なかには順番がくると電話で連絡をくれる親切なところもあるのだが、いつ呼ばれるかはわからない。現場によっては順番とおりにキッチリ並んでおかなければならないため、おちおち寝てもいられない。前のトラックが進めば自分もトラックを動かすという、いわば渋滞のような状況だからだ。そのような待機時間は、積み込みでも荷下し時にでも存在する。

 とくに冷蔵庫へと荷物を納める冷凍車の場合はひどく「期がわり」と呼ばれる毎月1日と16日においてはトラックの数が大幅に増えるため、目も当てられないほどの惨状となる。午前2時に荷下ろしの夜間受付を済ませたにもかかわらず、荷下ろし開始は午後4時だったこともある。もちろん、午後の仕事はキャンセルせざるを得なくなる。そのような待ち時間は、もちろん無駄でしかない。待っている間はほかの仕事ができないし、仮眠すらままならない。そして待機する場所がなければ、延々と路上駐車をするしかないのだ。それが改善されるとなれば、トラックドライバーの環境はかなりよくなることだろう。


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