マイニングダンプは労働安全法の適用外になる可能性が高い
しかし、これらの免許では単に特殊自動車で公道が走れるというだけのことだ。実際の作業を行うにあたっては、労働安全法に基づく規制が存在する。この法律は「労働災害の防止」を目的としているため、安全に作業ができるスキルを作業者に習得するよう求めているわけだ。これにより必要となる作業免許や資格は、クレーン・リフト・ゴンドラ・不整地運搬・高所作業・木材関連作業・巻き上げ機運転など、多岐に及んでいる。
これらの免許や資格は、講習などを各都道府県が定める「登録教習機関」で受けて、修了することによって取得できる。注意が必要なのは、同じ作業分野であっても作業内容(高さ・容量など)によって、免許や資格の内容が異なることだ(たとえば高所作業車であれば作業床の高さで講習内容が変わるなど)。また、道路交通法・道路運送車両法とは異なり、本法律の規制は業として作業をすることに適用されるため、私有地であっても無免許・無資格で作業をすれば、罰則を受けることになる。
ただ、特殊な作業を行わず、閉鎖された作業現場を走行する建設機械の場合は、少し事情が変わってくる。その代表的なものが、マイニングダンプだ。大きさは、全高7m・全幅10m・全長15m程度あるから、ほぼ3階建てのビルが走っているようなものだ。このような大きな車両でも、2軸4輪であれば労働安全法の適用外になる可能性が高い。すなわち、なんの免許・資格がなくても運転が可能だということだ。
とはいえ、実際は未経験者に運転させるということは考えられない。万一事故が起きたときに、事業者が刑事・民事責任を問われかねないからだ。やはり、大型の特殊自動車は、大型免許などを持つベテランでないと操るのは難しいのである。