バスマニアも鉄道マニアも涙した! 廃止が決まった日本で唯一の無軌条電車「立山トンネルのトロリーバス」ってどんな乗り物? (2/2ページ)

じつはいまでも注目されている

 今回の廃止で「無軌条電車」はなくなるものの、代わりに電気バス(EVバス)が運行されることになっている。わが国では電気バスが注目されてきており、民間バス事業者を中心に年々導入事例が増えてきている。これらはすべて自動車の扱いであり、道路運送車輌法・道路交通法の適用を受ける。すなわち、電気バスは動力に電気モーターを使用する自動車という扱いなのだ。

「トロリーバス」が廃止された背景は、路面電車と同様にモータリゼーションによるところが大きい。さらに、ディーゼルバスがハイパワー化・大型化したことで、「トロリーバス」の大量輸送という優位性が崩れたことにも要因がある。コストについても、あくまで路面電車に比較して低いということであり、ディーゼルバスよりはコストがかかる。

 冒頭のとおり、「トロリーバス」は今年の12月でわが国から完全に姿を消すことになるが、復活の可能性がまったくないわけではない。宇都宮ライトレール新規開業の例を見ればわかるように、これからの都市交通は多様化すると考えられるからだ。さらに環境問題に対応するため、電動車両が積極的に検討されるようになるだろう。

 そのひとつに電動バスがあるのだが、1回の充電で走れる距離が短いという欠点がある。その解決のヒントとして、JR東日本の「EV-E301系」蓄電池駆動電車が注目されているのだ。これは蓄電池で走る電車だがパンダグラフを備えており、架線があるところでは充電しながら走ることが可能なのである。

 同様に、停留所や道路の要所要所に架線を敷設し、充電をしながら走り続ける電動バスが、新たなトロリーバスとして開発される可能性が考えられる。さらに、先進安全技術を応用したカメラやセンサーで、架線や車線を認識して自動運行ができるようにもなるかもしれない。トロリーバスが復活する可能性は、決して皆無とはいえないのである。


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