「根太増し」は人気のスタイル!
荷台の高さを上げるということは、重心が自ずと高くなるということは安易に想像がつくだろう。そのためバランスが悪くなり、コーナリング性能や安定性は低くなってしまうのだ。それなのに、なぜ荷台を高くしたがるのか。そこには、いくつかのメリットと呼ぶべき理由が存在しているのだ。
まずひとつめは、荷物をあまり積んでいないように見せること。過積載を推奨しているわけではないため大きな声ではいえないが、車高が高くなることで見た目を軽く感じるよう仕立てているのだ。過積載対策であるともいえるだろう。
そしてふたつめは、アオリを高くすることができること。トラックボディのなかには平ボディとウイング車と呼ばれるものが存在するのだが、そのいずれのボディにもアオリというパーツが存在する。これはいわゆるボディ側面の壁に該当するもので、荷物を積み下ろす際にはボディの台枠(下部の枠組み)部分に固定された蝶番で開閉するようになっているのだ。
つまり、ボディそのものの地上高がなければアオリを高くできないのである。デコトラ愛好家たちの間では、4トントラックに1mのアオリ(メーターアオリ)を装備することが人気となっているのだが、そのためには地上高を1m以上にする必要がある。ちなみに純正ボディのアオリは400mm程度が一般的であるため、根太増しする必要性があるのはおわかりいただけるだろう。
では、なぜアオリを高くする必要があるのか。それも先の理由と共通するのだが、アオリを高くすることで荷室容量を増やすことができ、かつ荷台の内部を見せないことで積んでいないように思わせることができるのだ。もちろん見た目のよさも飛躍的に向上するため、デコトラ愛好家たちに好まれているのである。
アオリを持たない箱車の場合は、単に見た目のよさを重視しているケースが多い。しかし、なかには4トントラックでありながら大型用のホームやバースに付けることができるため、根太増しをしているという車両も存在する。それは少数派であるのだが、あくまでも仕事上の利便性を考えて根太増しされているのだ。それと同時に見た目のよさを得られるのであれば、実践しない理由はないだろう。
そんな根太増しについて、即座に「改造しているな」と気づく一般の人たちは少ないだろう。しかし、デコトラ愛好家のなかでは人気の高い、ファンにも浸透しているスタイルなのである。なかなかに奥が深い、デコトラという日本特有の文化。昭和の時代とは大きく様変わりした令和デコトラのスタイルを、これからも紹介していきたい。