この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権第4戦「ラリー丹後」が5月10〜12日に京都で開催された
■オープンクラスにターボエンジンを搭載した5速MTのダイハツ・ミライースが参戦
■ミライースはD-SPORT Racingによるワンオフでコンプリートカー/キットカーとしての販売を目指している
販売に向けてラリーのステージで鋭意開発中
全日本ラリー選手権第4戦「ラリー丹後」が5月10〜12日、京都府京丹後市を舞台に開催。シュコダ・ファビアR5を駆る新井大輝選手が今季2勝目を獲得した。
その背後では、全日本GT選手権やスーパーGTで活躍した谷川達也選手が、ホンダ・フィットで自身3回目のラリー参戦を果たし、激戦のJN5クラスで7位につけたほか、元スピードスケートの清水宏保選手が、トヨタ・ヤリスCVTで13位完走を果たすなど、異色のドライバーたちが懸命な走りを見せていたが、ポイント対象外のオープンクラスでは異色のマシンが注目を集めていた。
そのマシンとはダイハツの軽自動車、ミライースで、ダイハツ車両のカスタマイズを手がけるD-SPORT Racingが同モデルを投入。しかも、このラリー用のミライースはワンオフのスペシャルマシンで、コペンのエンジンおよびギヤボックスを移植したほか、ボンネットやフロントグリルに吸気の温度低減および排熱用のエアダクトを設けるなど徹底的な改造が実施されていた。
もちろん、ダンパーなどの足まわりのパーツも専用の開発モデルだ。
その一方で、不思議なことにリヤシートやラゲッジルームなどは切削されることはなく、ベース車両の状態が踏襲されていることから、この一台でラリー競技だけでなく、買い物や通勤にも使えるようになっている。
これまでコペンで全日本ラリー選手権に参戦するなど、D-SPORT Racingは積極的な活動を続けてきたが、今季は開幕戦のラリー三河湾より、このミライースを投入。このラリー丹後が競技2戦目となるが、果たして、このミライースは何をターゲットに開発されているのだろうか?
「コンプリートカーもしくはキットカーとしての販売を目指して開発しています」
そう語るのはミライースのステアリングを握るドライバーの相原泰祐選手だ。気になるインプレッションに関しては「車両重量が600kg台のベース車両に対して競技車両は710kgですが、ブーストアップして最大出力としては80馬力も出ているので加速だけでいえばラリー競技用のコペンより速いです」と相原選手。
その一方で課題も多く、「旋回性能はコペンのほうが高くて、とくにステアリングを切ったときの反応に関して、ミライースはまだまだです。タワーバーの試作品を作ってみましたが、反応がいまいちですし、いまはリヤのスタビもないので、今後はボディ補強を行って旋回性能を高めることがいまの課題です」と相原選手は語っている。
「ターボエンジン搭載でMTのミライースがあったらいいよね……というコンセプトのもと、コンプリートカー/キットカーとして販売できるように開発しています。次回は第5戦のモントレーに参戦する予定なので楽しみにしてください」と相原選手も語っているだけに、今度の動向に注目したい。