中国で超絶人気の高級ミニバン「GL8」がPHEVを導入! あえてBEVではなくPHEVで勝負するGMのしたたかな戦略 (2/2ページ)

EVではなくあえてPHEVを用意してきた理由

 いまでは、中国メーカーでも高級ミニバンをラインアップするのは当たり前だが、それでもGL8のステイタスはいまも抜群に高い。

 そのGL8にPHEVが設定されたことはじつに興味深いところでもある。

 中国はご存じのとおり、さまざまな思惑もあってBEV(バッテリー電気自動車)の普及率が高い。ただし、広大な国土をもつ国でもあるので、政府もBEV一辺倒というわけでもない。充電インフラも整い、平均所得の高い沿岸都市部ではBEVを積極的に普及させながら、「内陸部は環境負荷の低いICE(内燃機関)車やHEV(ハイブリッド車)、PHEVの普及を」といったリポートを見たことがある。「オーナー個々の使用環境に合わせて選んでほしい」といったトーンのリポートもあった。

 技術的なものや、生産面などの都合もあり、GL8はいままでBEVはおろかPHEVを設定しなかったのかもしれないが、すでにほぼ中国全土でステイタスの高いミニバンとして知名度も高いので、内陸部でもしっかり売っていこうとして、あえてBEVではなくPHEVを選択したのかもしれない。

 中国メーカーを見ていても、内陸や地方部でもよく売れているようなブランドや、沿岸部だけではなく広く販売促進していきたいというブランドでは、よりHEVやPHEVのラインアップに熱心なようにもみえる。

 国土の広い中国では、昔ほどではないものの華北(北部)と華南(南部)地域では、それぞれ地元メーカーが強みを見せ、走っているクルマが異なることもまだまだ多い。GL8のような全土にわたって知名度の高いモデルは、闇雲にBEVに走るよりは、今回まずPHEVをラインアップしたことに“なるほどなぁ”と筆者は強い関心を示している。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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