この記事をまとめると
■ミニクロスオーバーがモデルチェンジでグローバル名である「ミニカントリーマン」を名乗るようになった
■クラシックミニのワゴンには「カントリーマン」という名前が付けられていた
■クラシックミニのカントリーマンにはオプションでリアルウッドのフレームが用意されていた
由緒正しき「ミニカントリーマン」の名称
ミニクロスオーバーがモデルチェンジとともに、ミニカントリーマンという名前になった。ただし、ヨーロッパでは初代からカントリーマンだったので、グローバルに合わせたという説明が正しいだろう。
なぜ日本だけクロスオーバーだったかというと、クロスオーバーより前に出たクラブマンをベースに、国内のミニ専門店がドレスアップバージョンを作り、それにカントリーマンという名前を与え、商標登録していたので、使えなかったらしい。新型は商標の譲渡などが行われたので、晴れてカントリーマンと名乗ることができたというストーリーだそうだ。
ともあれカントリーマンという車名を見て、昔を思い出した人もいるのではないだろうか。クラシックミニのワゴンに、カントリーマンという名前がつけられていたからだ。
昔は多くのクルマにワゴンが用意されていた。イギリスも同じで、クラシックミニの兄貴分として第二次世界大戦直後に生まれたモーリス・マイナー、オースチンA30にも設定があった。名前はマイナーがトラベラーで、A30がカントリーマン。つまりこの時期からカントリーマンという車名はあった。
ただし、A30のカントリーマンは、見た目はリヤクォーターウインドウの有無以外はバンとほぼ同じ。一方のトラベラーはボディ後半の骨格を木で構築し、鉄板とガラスを張っていくという、木造住宅のような成り立ちだった。
トラベラーはいまのクルマでは考えられない作りだが、そもそも馬車は木で作られていたでしょ? というのがイギリス人の主張かもしれない。
そして、マイナーやA30よりひとまわり小さな大衆車として生まれた前輪駆動のミニも、当初用意されたオースティン版はミニカントリーマン、モーリス版はミニトラベラーと呼ばれたのだった。どちらもオプションでウッドフレームが用意された。モーリス・マイナーのときと違って、モノコックボディの外側に木枠を追加したという構造だったけれど、小さなボディに華を添える役目は十分以上に果たしていた。
BMWプロデュースで蘇ったいまのミニで、インポーターに先駆けてカントリーマンの名前を商標登録したクラブマンのドレスアップバージョンは、ベースがワゴンだったし、ウッドフレームを備えていたので、内容としては合致していたわけだ。
とはいえ高温多湿の日本では、最悪の場合キノコが生えるという噂もあったし、いまは環境保護でリアルウッドを使うのは難しい。あの時代だから許された技だったと解釈するのが正しいのかもしれない。