インドから輸入しているホンダWR-Vが大ヒット! 日本市場の「常識」が変わるかもしれない (2/2ページ)

日本市場でも完成日本車を輸入する流れが加速するかもしれない

 ただ、筆者が見ていると、他メーカー車オーナーというよりは、ホンダ車ユーザーの乗り換えが目立っているようにも見えている。販売現場ではトヨタ・ライズと同サイズと期待していたそうなので、ライズサイズ、つまり5ナンバーサイズならばまた違った状況になっていたかもしれない。

 リリースでは、「軽自動車からの乗り換えも……」としているが、この軽自動車の多くはN-BOXとなっているようだ。たとえば、「仕事をリタイヤしたので軽自動車のN-BOXにマイカーをダウンサイズしたがやはりサイズを落としすぎた」といったN-BOXユーザーがWR-Vに注目したり、もともとN-BOXの購入を検討したが、WR-Vの存在を知って購入車種を変更したといったこともあるようだ。

 ハイブリッドも4WDもないという割り切りのよさと、開発の段階から徹底したコストダウンが施された結果がWR-Vのお値打ち価格となっているので、単純に「インド製だから……」というのが買い得感を高めているとは思わないほうがいい。

 いまや人件費などが安いから海外で生産して日本にもってくるということはまずない(タイあたりと比べれば日本のほうが人件費は安いこともある時代)。世界をひとつの市場と捉え、最適な場所で生産してもち込むというスタイルは世界的には珍しくない。

 ただ、日本の自動車ユーザーは原産国にこだわることもあるし、いままではやはり製造品質での見劣りは否定できない部分もあったが、ホンダ車ではすでに中国製のオデッセイも日本に入っているが、大きく見劣りする部分は確認できなくなっている。

 そもそも新車販売市場が最盛期の半分ほどまでに落ちこみ、今後もその流れが止まらない日本市場に向けた専売モデルのラインアップを続けるのが合理的ではなくなっている。世界で売っているモデルのなかから、日本市場にも適しているモデルを完成車輸入するという流れは、中長期的に見れば珍しいことではなくなってきそうである。

 WR-Vの販売計画は月販で3000台となっている。海外生産車でここまで台数を売ろうとするクルマはいままでなかなかなかった。ホンダでは過去にアメリカで生産したアコードワゴンを輸入販売して人気を博したが、そのアコードワゴンでも4代目アコードワゴンで月販目標500台、5代目で約1600台であったから、いままでの海外生産車の輸入販売とは異なる流れでWR-Vが発売になっている様子が伝わってくる。

 もちろん、メーカーそれぞれで生産計画は異なるので、今後ホンダのような流れがほかのメーカーに波及するかはなんともいえない。ただ、WR-Vは現状ではヒットモデルと呼ぶにふさわしい売れ行きになっている。今後はさまざまな国で生産された日本車が日本で販売され走っているかもしれない、WR-Vはそんなエポックメイキングなモデルになるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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