市販されなかったのが残念すぎる! 86をワゴン化した「シューティングブレーク」が理想的な1台だった (2/2ページ)

市販化の可能性を匂わせた1台

 そうしたメリットに注目して生まれたのが、ここで紹介する「86シューティングブレーク」。初代86をベースに2016年に生まれたプロトタイプではあるが、国産モデルとして、おそらく唯一「シューティングブレーク」と名乗ったモデルだ。

 アイディアを思い付いたのはオーストラリアのデザインスタジオだという。彼の地においてもトヨタのスポーツクーペ「86」は人気を集めていたが、立派な体躯のオージーにとっては、いかんせん後席が狭すぎるという評価だったという。

 そこでスタイリングを崩さずに後席スペースを拡大できる手はないか……と考えた末、前述したシューティングブレークの副産物的メリットを利用するというアイディアにつながったという。

 残念ながら、この86シューティングブレークはプロトタイプ止まりで終わってしまったが、テールゲートはレクサスCTのそれを利用するなど非常に現実的なアプローチによって作られていたことで、量産への期待を高めたのも事実。

 リヤまわりのボディが拡大したことで車両重量は増えてしまっているのだが、重量増の多くが後軸にかかるということもあり、トラクション性能が増していたという高評価も伝え聞くところ。

 SUVやミニバンが当たり前のなかで育ってきたドライバーからは「クーペはスポーティなのかもしれないけれど、荷物が積めないクルマ」と低評価を受けがちだが、シューティングブレークであれば、そうしたネガは解消される。GR86の次期モデルでは、こうしたバリエーションも含めて進化することを期待したい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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