2024年問題を受けての路線バスの減便に廃止は「自動運転」じゃ解決できない! 「賃上げ」だけが唯一の策!! (2/2ページ)

とにかく賃上げをすることに尽きる!

 働き方改革のひとつとして、労働時間の短縮を進めるというのを否定するつもりはない。ただ、自動車輸送業界だけではなく、広く世間では十分ではない基本給を補填する意味で超過勤務を行い、超過勤務手当がないと生活レベルの維持ができないケースが多いことが、日本の社会では長く続いていた。収入面の改善を同時並行的に進めなければ、労働時間を減らして稼げなくなった乗務員の離職が増えるのはわかりきっていたことであるし、運行現場で丁寧な聞き取りを行えば、行政当局も把握できたことであり、筆者は「それみたことか」と思っている。

「空いた時間でダブルワークやトリプルワークすればいいのでは」といった話もあるかもしれないが、そもそも「働く時間を減らそう」という動きなのに、それでは本末転倒のようにも見えてしまう。

 路線バス乗務員の給料がその業務に対し薄給なのは以前からわかりきっていたこと。新型コロナウイルス感染拡大下でも、「エッセンシャルワーカー」としてハンドルを握り続け、多くの乗務員が感染した。バス乗務員の世界でもさまざまな超過勤務手当のようなものが存在し、それが給与額をフォローしていた。しかし、2024年4月以降は働ける時間が大幅に減ったので、給料もダウンしてしまった。そうなれば退職者が増えるのは生活防衛のために仕方のないことで、誰も批判はできない。

 さまざまな事情から、労働時間を最小限に抑えたいという人もいれば、可能な限り働いて収入を増やしたいという人もいるはず。多様な生き方が重視されるのならば、働き方も多様性があっていいのではないだろうか。

 テレビ番組のコメンテーターからは、「自動運転が解決してくれる」というコメントがすぐ出てくる。仮に技術的に可能であっても、自動運転を導入するためのコスト負担に耐えられる事業者はかなり限られてくるだろう(もちろん政府の補助などもあるだろうけど)。

 ましてや、より2024年問題の影響を受けやすい地方の事業者は、投資するよりは廃業するケースも目立ってくるだろう。そんな簡単に解決できるほど問題は単純ではないのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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