右ハンにも左ハンにもなるってマジか!? 史上最強の働くクルマ「ウニモグ」がとんでもない1台だった (2/2ページ)

「多目的動力装置」としての実用性が年々向上している

 ウニモグの正規輸入元であるワイ・エンジニアリングが公式サイト内で公開している動画を見てみたが、左から右、あるいは右から左へのハンドル位置の変更手順は、超カンタンというほどでもないが、けっこうラクではある模様。

 ドイツ語の動画であるため、動画内でいわれていることは何ひとつわからなかったが、動画を見る限りでは「ダッシュパネルをパカッと外す→ペダル類を含むステアリングユニット全体を左または右にスライドさせ、レバーで固定する→再びダッシュパネルをパカッとはめる」というだけでOKのようだ。

 そして動画を見る限り、確かにウニモグで行う作業というのは「車両を微速で動かしながら行うもの」が多いため、右サイドに付けたアタッチメントで作業をするなら「右ハンドル」のほうが圧倒的に便利であり、左サイドにアタッチメントを付けて作業する際には左ハンドルであったほうが、緻密な作業をドライバー1人で行うことができる。

 ちなみにウニモグの最初の図面は1945年の秋、ダイムラー・ベンツ社の航空エンジン開発責任者だったアルベルト・フリードリッヒによって書かれたのだという。当初、周囲は彼が開発し始めた車両を「単なる農業用車両」と見なしていたが、フリードリッヒが目指していたのは「これまでのものとはまったく異なるクルマ」だった。

 初期のスケッチには「Motorized Universal Working Machine for Agriculture (農業用の原動機付き多目的作業機械)」と記されていて、「UNIMOG」という名前はまだなかった。だが「比較的高速で走ることができて」「コイルスプリングを装備した柔軟なサスペンション構造をもっていて」「トラックや乗用車に引けを取らない堅固なシャシーとフレームを擁し」「さまざまな作業機を前部、中央部、後部へ架装できる」というフリードリッヒの基本コンセプトは、今日の最新版ウニモグの趣旨とも完全に一致している。

 1946年にはUniversal Motor Gerät(多目的動力装置)というドイツ語の頭文字をとった「UNIMOG」という車名が与えられ、1948年には、工作機械メーカーのボーリンガー社で本格的な生産が始まったウニモグ。そして1950年からは、ダイムラー・ベンツ社がその生産に関するすべてを引き継いだ「多目的動力装置」は、いまもなお「最強の働くクルマ」としての進化を続けているようだ。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

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