【試乗】悪路シロートでも安心かつ余裕で走れる! 迷ったら「ヨコハマタイヤ ジオランダーA/T4」に偽りなし!! (2/2ページ)

過酷な悪路もラクラク走破!

 次に走ったのは、アサマレースウェイのなかのショートコースだ。ストレート区間が短く、基本、中速コーナーと低速コーナーが続くテクニカルなレイアウトだ。試乗会の当日は、前日に降った雨が地面のところどころをぬかるみへと変えた、おあつらえ向きといえるコンディションだ──こうした道が好きな人にとっては。そして試乗車は、ここでもトヨタRAV4だった。

 こういう道はホントにシロートもいいところだという自覚はあるので、最初はスピード抑えめ、はまってしまいそうな部分を避けて走ってたのだけど、当たり前ながらなんの危なげもない。なので少しずつペースを上げていき、ちょっとずつ危なそうなところにも足を踏み入れていき、仕舞いには御機嫌な気分でペダルを踏んでステアリングを切って結構いいペースで走ることができた。

 そんなふうに走れたのは、途中からある程度以上、自信がもてたからだ。加速するときも減速するときも、しっかりとしたグリップ感を与えてくれる。ステアリングを切り込んでいくときのフィーリングは、むしろオンロードを走ったときよりクッキリしてるかのようで、レスポンスも良好。ドライバーがヘマをしないかぎり、すんなり素直に曲がってくれる。

 グチョグチョのぬかるみとワダチが連続するようなところでも、いきなりグリップが抜けたりトラクションの状態が大きく変化したりもしないし、コーナリングのライン上で内側のタイヤが深いぬかるみを踏みしめるような場所でも大きく姿勢を崩すことなく曲がっていける。もちろんRAV4そのものが持ってる安定感の高さと4WDの制御の巧みさあってこそだとは思うのだけど、ひと言でいうなら、僕のようなシロートにもわかりやすくて扱いやすいタイヤなんだな、と強く感じた。

 最後のステージとなる1周3kmほどのロングコースでも、好印象であることに変わりはなかった。ここでの試乗車はトヨタ・ハイラックスと三菱トライトン。このコースはスピードレンジがショートコースとは段違いに高いストレート区間があって、そのままの勢いでワダチにはまったりコブのようなところを乗り越えたりしても、反応はしなやかにして穏やか。片側はほぼドライで片側は深めのぬかるみといったところでも──もちろんクルマの基本性能が優れてるからということもあるけど──急激に挙動を乱したりはしない。

 ちゃんとグリップし、ちゃんと凹凸をいなし、ちゃんと素直に曲がり、駆動の状況がしっかり伝わってきて、扱いやすく、快適といえる乗り味。しかも、だ。コースを走り終わってトレッド面を何となしに見てみたら、ブロックとブロックの間の溝のなかには、ぬかるみのドロドロも粘度のような火山灰質の土も、ほとんど残っていなかった。排土性もかなり高いのだ。さらに、どちらかといえばマイルドなハイラックスにどちらかといえばシャープなトライトンという、キャラクターの異なるピックアップトラックのどちらにもいい具合にマッチしてるように感じられたから、クルマを選ばないタイヤということもできるだろう。

 開発陣が「迷ったらジオランダーA/T4」といってるのを耳にしたけれど、まさしくそれ。シリーズのなかではバランス型であるのはたしかだが、そのバランスの円グラフの輪は全体的に大きいのだ。ハードコアなラフロードに行くのが趣味ということなら同じジオランダー・シリーズのそれ用のタイヤを選ぶのがいいと思うが、そうでなければ積極的にこのタイヤを選ぶのが間違いないんじゃないか? とまで感じてしまった。編集部の思惑にバクッとはまっちゃったみたいでちょっと悔しいけれど、うん、このタイヤのできのよさは間違いなくシロートにもわかる……というか、わかった。

 個人的なことだけど、おそらく今後も悪路を走ることはほとんどないと思われるものの、いずれジムニー欲しいな……なんて思ってるところがある。そうなったら選ぶタイヤはこれだな、なんて考えてる。だってカッコいい上に基本性能がしっかりしてて、いうことないじゃん。そんなふうに考えちゃってるくらいなのだから。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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