EV開発に10兆円を投入予定
電動車ラインアップ戦略において、ファンがもっとも期待するのは「ホンダらしいEV」の登場だろう。残念ながらHonda eは生産終了してしまったものの、次世代EVとしてグローバル展開される「Honda 0シリーズ」が控えている。
「Honda 0シリーズ」は、“Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)”という新たな開発アプローチにより、文字どおりゼロからの発想で創り出す、まったく新しいEVシリーズで、2030年までに小型から中大型モデルまで、全世界で7モデルが投入される。
そのフラッグシップとなる「SALOON」は、2026年に発売予定。今年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたCESにおいて、「SALOON」および「SPACE-HUB」というコンセプトモデルを発表されているが、市販型SALOONはコンセプトモデルにかなり近い形で発売を予定しているという。
日本国内市場においては、2024年秋に軽商用EV「N-VAN e:」を発売。そして2025年には、N-ONEをベースとした軽乗用EVが発売予定。そして期待したいのが、2026年に発売予定という小型EVだ。こちらは「操る楽しさを際立たせた小型EV」とのことで、ホンダファンならずとも正式発表が待ち遠しくなるモデルだ。
そしてホンダならではのMobile Power Pack(モバイルパワーパック)を使った電動化展開として、2024年にモバイルパワーパックを2個搭載する二輪電動モビリティ、2025年度中には、同じく4個のモバイルパワーパックを搭載する超小型モビリティが日本国内市場へ投入される。
そして、最後に語られたのが財務戦略だ。ホンダがEVの本格普及期と位置付けている2030年度までの10年間で、約10兆円の資源投入を計画。
その内訳は、ソフトウェアディファインドモビリティ実現に向けた研究開発支出として約2兆円。アメリカ/カナダ/日本などでの、EVの包括的バリューチェーン構築に係る投資・出資など約2兆円。次世代のEV専用工場を含む生産領域、二輪電動化関連、四輪新機種開発支出、金型投資など、ものづくり関連費用として開発支出が3兆円。同じく投資や出資が3兆円となっている。
これらの原資を創出するため、2026年から2030年度までをICEからEVへの本格的な事業転換フェーズとし、絶好調の二輪事業を中心にICE/ハイブリッド事業の体質を強化。2021~2025年度を超える、12兆円の営業キャッシュフロー創出を目指すと掲げた。その原資は電動事業・ICE/ハイブリッドおよび新領域へ投資配分するとともに、今後の株主への安定・継続的な配当を両立させるべく邁進していく。