この記事をまとめると
■3代目シルビアには姉妹車の「ガゼール」が存在した
■西部警察の劇中車として使用されたことで知名度は上がった
■2代目も存在していたが1986年のマイナーチェンジで廃止されシルビアに統合された
180SXよりも前にもシルビアには姉妹車がいた!
コンパクトなボディにハイパワーなターボモデルの設定があり、FRレイアウトをもつという今では希少となったパッケージで高い人気を誇るシルビア。その姉妹車といえば1989年に登場した180SXが知られるところだが、それ以前にもシルビアの姉妹車は存在していた。それが今回ご紹介するガゼールである。
1979年3月にシルビアが3代目モデルにフルモデルチェンジを果たしたタイミングで登場したガゼールは、当時のサニー店系列扱いだったシルビアに対し、日産モーター店系列向けにリリースされたもの。
そのため基本的なメカニズムはシルビアと共通で、シルビアと180SXのようにボディタイプの違いもなく、どちらにも2ドアハードトップと3ドアハッチバックが用意されており、両車の違いはグリルやテールランプのデザインなど些細なものとなっていた。
ただセドリックやローレルなど、上級車種を多く扱っていた日産モーター店のキャラクターに合わせてガゼールはやや高級な雰囲気を纏ったモデルとなっており、メッキを用いたエクステリアや革巻きパーキングブレーキレバーを標準で装備するなど、若干高級感を感じる差別化がなされていた。
そんなガゼールの名を一躍有名にしたのが、1979年に放送を開始した刑事ドラマ「西部警察」である。この劇中に登場する、石原裕次郎演じる木暮謙三課長の愛車として登場したのである。
この劇中車の大きな違いは、2ドアハードトップでも3ドアハッチバックでもなく、屋根をカットオフしたオープンカー仕様となっていた点で、ボンネットとトランクに描かれた車名の由来にもなったガゼール(カモシカの仲間)をイメージしたグラフィックと共に当時の視聴者に大きなインパクトを与えたのだった。
※写真はミニカー
そして1983年8月にはシルビアのフルモデルチェンジに合わせてガゼールも2代目へと進化。このモデルも初代と同じくシルビアと大きく変わらない姉妹車関係で、差異はグリルやテールランプのデザインといった点も同一。
ここまで違いがないのであれば、作りわける意味もないと判断されたのかどうかは不明だが、1986年2月に実施されたマイナーチェンジのタイミングでガゼールは廃止となり、日産モーター店でもシルビアを販売することとなった。
ちなみにガゼールの後継車種といわれがちな180SXだが、じつは日産モーター店ではなく、プリンス店系列、チェリー店系列での取り扱い車種となっており、厳密には異なるラインのクルマといえるのだ。