意外や意外、バンコクは日本の旧車天国だった
このような状況なので、日本以上にクルマにとっては過酷な環境に見えるのだが、バンコク市内を見ていると、意外なほど旧車を見かける。5代目ホンダ・シビックや初代マツダ(ユーノス)・ロードスターといった日本車に交じり、欧州車の旧車も多く見かけることができた。
メルセデス・ベンツでいえば、W123やW124のEクラス、初代Cクラスを見かけることもできたほか、20年ほど経過したボルボも走っていた。ちなみにボルボは新車でも街なかを走る姿をよく見かけた。「日本と同じかもしれませんが、インテリジェンスの高い所得に余裕のある人が好んで乗っているようです」とは地元事情通。
日本車はともかくとして、当時の欧州車は高温多湿を苦手にしていたのだが、いまでも冷房をきかせ、外装もかなり程度良く乗っているのである。見かけただけでも手入れが行き届いているのが伝わってきた。
そもそもタクシーですらドレスアップしていることも少なくない土地柄、クルマをいじることが好きな人が多いように見受けられる。日本でも趣味で旧車を乗っている人はよく見かけるが、バンコクで見かけた多くの旧車たちは、趣味として乗っているというよりも、手入れを丹念に行いながら日常的に使っているようにも見えた。
ちなみに、かつて日本で中古バスを販売する人に話を聞いたことがある。中古バスとして販売される車両はおおむね走行距離が60万km前後のものが多いとのこと。そして、仕入れ先はバス事業者となるのだが、たとえば路線バスで同年式同型車であっても、点検・整備などをしっかり行っている事業者と、乗りっぱなしに近い状態で使っている事業者ではコンディションに大きな差が出ると聞いたことがある。
その意味では、バンコク市内で意外なほど欧州ブランドの旧車を見かけたということは、普段から小まめに手入れをする人がタイには多いということを意味するのかもしれない。