いまタクシードライバーが稼げる職業……は幻想! 稼ぐためにはアプリ時代に適応する必要アリ!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシー運転手が儲かっているという報道が一部であるがそれは限定的な話

■もともと「稼げる運転士」だった人が配車アプリを使いこなしてさらに売り上げを伸ばす例が目立っている

■タクシー運転士として安定して稼ぐためには「営業センス」と「営業努力」が必要

タクシー運転士が儲かっているというのは本当か?

 2024年4月から影響が本格化するとされていた「2024年問題」が顕在化する以前から、おもにトラック運転士によるタクシー運転士への転職が目立っているとお伝えしたことがある。ある事業者ではタクシー運転士志望者の4割ほどがトラック運転士だったという話も聞いた。

 2024年に入ったときぐらいから、メディアでは「タクシー運転士が儲かりすぎて笑いが止まらない」という報道が目立つようになった。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、街に人が溢れるようになるだけではなく、世界から日本をめざすインバウンド(訪日外国人客)が戻り、タクシー需要が戻るなか、コロナ禍となり離職した運転士が戻ることもなく、新規採用も思うように進まなかった結果、極端なタクシーの稼働台数不足が発生した。それでも需要が戻っているので、需要と供給のアンバランスな状況が続き、タクシー1台あたりの営収(営業収益)が伸びた結果、「タクシーはいま稼げる」ということになったようだ。

 当時でもタクシー運転士に話を聞くと、「タクシー配車アプリサービスに参加している大手事業者の一部運転士は確かにウハウハと聞いたことがあるが、それは限定的」とも聞いた。

 その後、まだまだ繁忙時間帯では稼働不足状況は否めないものの、街にタクシーが戻りつつある。筆者は月に数日早朝時間帯に同じ場所で定点観測を行っている。メディアでタクシーの極端な稼働台数不足が報じられたころには、確かにその時間帯であっても「空車」のタクシーをほとんど見かけることはなかった(もちろん稼働台数自体も少ない)。近くに飲食店街やラブホテル街などがあり、早朝でも「需要」が見込める地域なので、帰宅する利用客を狙ってタクシーが集まってくるのであるが、それでも空車のタクシーはまずいなかった。

 その後、タクシーの稼働台数が目に見えて多くなったなぁと感じるようになった。空車のタクシーが目立ってきたのである。前述したような場所なので、お客が見つかるまでグルグルと飲食店街などの周囲をまわってお客を見つけるのがタクシー営業の「いろは」なのだが、筆者の前を何回も同じタクシーが空車表示のまま通りすぎるようになっていった。

 さらに、ある傾向に気がついた。最大手のタクシー配車アプリサービスに加盟している事業者タクシーの「実車(お客を乗せて走っている)率」が高いのである。深刻な稼働不足で道路わきで空車のタクシーを待っていてもなかなかこないなか、タクシーを頻繁に使う人ほど、東京23区内、いや都心部であっても配車アプリでタクシーを呼ぶようになった。配車マッチング及び乗車地到着まで待つ時間はそれなりにかかるが、「あてもなく空車のタクシーがくるのを待つよりは……」ということで利用者が一気に増えているようである。

 いわゆる「羽振りのいい運転士」というのは、そもそもタクシー運転士としての素質(ただ街を流していればいいというわけではない。そこには時間帯によって流すエリアを決めたり、都内ならばお客を郊外の目的地まで送り届けたあと、そこからどの通りがお客がいそうかを判断し、都心まで戻るルートを即座に決めるといったことなどができる人)があり、「稼げる運転士」だった人が配車アプリというデジタルツールをさらに使いこなして売り上げを上げていることが目立っているように見える。

 もちろん、異業種からタクシーの世界に新たに足を踏み入れた新人運転士でも前述したような素質があればすぐに稼げる運転士になることができる。それは、配車アプリサービスに加盟している事業者ならばさらに稼ぎやすい環境が整っていることになる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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