まるでタクシーレプリカのようなクルマの正体は!? タイでライドシェアに「行灯のないタクシー」が使われる事情 (2/2ページ)

行灯がない車両は別働部隊だった

 日本では業界最大手ともいわれる某タクシー会社で、タクシー配車アプリによる配車要請のみに対応する専用車両を東京都内で走らせているので、そのノリかと思ったのだが、タイではドライバーがタクシー会社から車両を有料で借りて営業運行するスタイルとなるので、東京のようなサービスではないようだ。

 タイもコロナ禍となってしばらくは日本以上に厳しく外出規制が行われ、タクシー業界も大打撃を受けた。日本よりはまだ状況はいいようだが、それでもコロナ禍前ほどの稼働台数が戻りきっていないとも聞いている。さらに、外出規制の影響による売り上げダウンが響き、新車への入れ換えがなかなか進んでいないのもまた現実となっている。

 そのため、東南アジア版カローラセダンとなる、トヨタ・カローラアルティスの2代目車両も、現役車両として使われている。2代目は2007年から2014年の間にラインアップされているので、最終モデルでもすでに10年が経とうとしている。10年タクシーで使うと東京都内のタクシーならば、走行距離が100万km近くになっていてもおかしくない。

 今回滞在中にマッチングアプリでタクシーを呼ぶと、この2代目が結構な割合でやってきた。あるときは乗り込んで一度窓を全開したあとに締めようと思ったら、パワーウインドウが作動せず閉まらなくなった。ドライバーがドアを叩くなどしたら窓が閉まった(やはり最後は叩くに限る?)。

 まぁ、かなり見た目はくたびれているものの、乗り心地などクルマとしての基本性能は目立ってくたびれた様子はなく、カローラフリークの筆者は「さすがだ」と思ってしまった。

 帰国の際に、台湾の台北に立ち寄ったのだが、このとき空港の往復でタクシー(空港と宿泊先を結ぶシャトルサービス)を利用した。空港から宿泊先までは、カローラアルティス(ハイブリッド)、宿泊先から空港まではトヨタ・カローラクロス(ハイブリッド)だったのだが、いずれも車内は新車の「香り」が充満するほどの新車だったのが、タイとは対照的で印象に残っている。

 バンコクでも今後はBEV(バッテリー電気自動車)にタクシー車両の入れ換えを進めていくようなので、BEVタクシーの供給が十分整うタイミングを見計らって、現有車両を延命させているのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報