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マツダが広げるレースの裾野! バーチャルからリアルへとドライバーを引き上げるプログラムに密着した (2/2ページ)

マツダが広げるレースの裾野! バーチャルからリアルへとドライバーを引き上げるプログラムに密着した

この記事をまとめると

マツダスピリットレーシング「バーチャルからリアルへの道」の2期生トレーニングに密着

■「バーチャルからリアルへの道」ではレースする上での心構えを徹底的に叩き込まれる

■2期生が慣れ親しむシミュレーターを使ってサーキット走行のエクササイズが行われた

マツスピ育成プログラム第2期生のトレーニングに密着

 5月のある週末、港区にあるブリヂストングローバル研修センターで、マツダスピリットレーシング(MSpR)の2期生たちのトレーニングが公開された。MSpRは、昨年に続いて「バーチャルからリアルへの道」という育成プログラムを展開しており、選ばれた6名のうち5名が参加した。

 会場となったのは6台のiRacing(アイレーシング)シミュレーターを備えるブリヂストングローバル研修センター。

 リアルのモータースポーツでタイヤを供給する同社にとって、バーチャルで芽を出して羽ばたくドライバーは、将来的なユーザーであるだけではない。MSpRのモータースポーツ文化を広げる取り組みに共感したからこそ、コラボに至った点を、この日のブリヂストン側の責任者、山本塁氏は強調する。

 普段、ここのシミュレーターは有料かつ予約制で月4日ほど一般開放されており、1回1万円でプレイできるという価格設定もゴルフやテニスと似た感覚で、しかも講師が教えくれる。

 この日はアジア人で唯一、ウイリアムズEスポーツに所属しスーパー耐久ST5クラスにも参戦する武藤壮汰氏と、シムからキャリアをスタートしてスーパーFJに今年デビューした樺木大河氏が、シミュレーター・レッスンの講師を務めた。

 まず午前中は、育成ドライバーの指導を担当するTCRジャパンの加藤彰彬氏による座学講義だった。氏はシミュレーターの作り手と初期からコンテンツ作りを担い、どう育成に活かすかにも取り組んできたがゆえ、リアルで練習をし始めると躓くポイントも熟知している。最終的に目指すマツ耐参戦に向けてのルール理解、レースする上での心構えについて、氏は次のように述べる。

「1期生のなかにも、実車のイメージは恐怖だったけど、それが楽しいに変わった、という人がいました。ゲームよりリアルの世界はさらに広がった世界で、たとえばクルマから伝わってくる情報量がまったく違います。リアルだとGや振動が伝わってくるし、車両感覚としてタイヤどこにあるか、距離感が悩みになったりもします」。

 今日の2期生メンバーは全員、加藤氏から合格をもらって選ばれたとはいえ、選考基準は速さだけではない。それなり以上に速いのは当たり前で、落ち着いてクルマを操れて負担をかけないこと、そのスキルで6人を選抜しているという。

「皆さんは選ばれた以上、サーキットでは立ち居振る舞いごと気をつけて下さい。レースは自然の環境下で同じゴール目指すなかで、順位をつけるもの。ライバルがいて初めて成立します。だからライバルはリスペクトして下さい。皆が一緒にレースを走る仲間であり、ほかのエントラントとも仲良く。運転技術は大事だけど、それ以上に皆でレースを一緒にやっていけることが大事。今年、MSpRから出て終わりじゃなくて、そこから一緒に体験した楽しさを伝えてもらいたいです。だから身だしなみ、マナー、ピットでの態度、SNSでの発言も、意識してください。MSpRの一員であることを大事にして下さい」。

いざリアルのサーキット走行を想定しての準備とは?

 加藤氏の言葉に、2期生の誰もが背筋を伸ばしたように見えた。ところが「じゃあ車両規定と競技規定について。レギュレーション、読んできた人は?」との問いには、全員が沈黙。バーチャルでは選ばれし優等生のはずなのに、申し訳なさそうに規定が記されたプリントをとりに行くところが、ちょっと可笑しい。

「ドライバーだからクルマが用意されていて当たり前と思わないこと。タイヤのボルト、空気圧チェックなど準備から一緒に。あと競技では誤作動すると危ないのでエアバッグは解除、ゼッケンもちゃんと見えるよう、撮られることも考えて格好よく。牽引フックの取付け、トランスポンダーやデータロガーの設置も」。

「前日に練習できない場合もありえます。予選15分だけ、とかいった場合は全員が少しづつ乗ってコースを見るとか、それこそシミュレーターの活きる場面です。あとエントリー受付はひとりだけ足りないとか、アイツどこ行ったかわからないとか起きるので、皆でまとまれるよう、トイレ行く際も誰かに伝えてください」。

「ヘルメットやグローブなど装備品をちゃんと用意して、サーキットに無事に来ることが大事。あとレース中は車内とピットで通信しますから、イヤホンを携帯電話に繋ぐ準備も。携帯電話は夏に熱暴走もありうるので、各自対策しておいてください。呼びたいのに呼べないとか、ヘルメット内で耳からズレないよう、同じ環境を作れるように練習しておいて下さい」。

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