一度激減したタクシードライバーが増えてきた! 利用者には喜ばしい半面「経済不安」の現れという側面もアリ (2/2ページ)

タクシードライバーの増減は景気の指針

 前出の運転士さんいわく、「少し離れていたところにある異業種で働いていたのですが、そこがダメになってしまい運転士をやることになりました」という発言が気になった。筆者は2024年問題で稼ぎが減ることに不安を覚えるトラック運転士がタクシー運転士に転職するケースが多いとは聞いていた。

 テレビニュースでは大手企業を中心に賃上げが積極的に行われていると報じているが、円安に歯止めがきかない状況が続いている。株価も1300円以上下げたといったニュースが流れた日もあった。

 つまり、賃上げが一部で進んでいるとはいえ、諸物価高騰はいまも進んでおり、不安定な経済状況になっているのである。そして極端な円安なども手伝い、中小企業の倒産件数がかなりの数にのぼっているとのこと。ある報道では2024年の倒産件数がこのままのペースで行くと1万件を超す勢いとなっており、11年ぶりのペースと報じている。

 インバウンド(訪日外国人旅行者)がコロナ禍前を超える人数になったとしているが、働き手不足で客室稼働率を抑えざるを得ないなか、光熱費などのコスト上昇もあり、宿泊や飲食業といったところも十分その恩恵を授かっていないと報じている。

 いまどきは単に景気がいいとか悪いとかではなく、働き手不足というものも企業倒産を招く時代となっているのである(事業継承できずに廃業というパターンもあるようだ)。

 つまり、いまタクシー運転士をめざす人が多いといわれているが、じつは元の勤務先が倒産した影響などで転職してくるケースも多くなっているのではないかと筆者は考えている。もともと、タクシー業界は景気が悪くなり、職を失った人たちの受け皿といわれてきた。家族を抱えた中高年層であっても、正社員採用が容易で社会保険に困らないで働くことができるからである。

 都心部を見ていると、万全とはいえないものの、街なかを走るタクシーは一時期より確実に増えている。そして、当然空車で流すタクシーも珍しくなくなってきた。一時は極端な稼働台数不足で、誰でもタクシーを流せば相当稼ぎがよかったが、筆者が見ている限りではそろそろ比較的誰でも稼げるという状況ではなくなってきていると見ている。

 それでもタクシー運転士をめざす人が多いという現状は、あまり報道はされないものの、ハイペースで進む中小企業の倒産(倒産しなくともリストラも目立っているだろう)が、背景にあるのではないかということも忘れてはならないし、注視していかなければならないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報