ボブスレーにモータースポーツ部門を総動員したBMW
BMW&ボブスレー
BMWの本拠地であるミュンヘンは冬季オリンピックも開催されたウィンタースポーツの聖地でもあります。それゆえ、BMWが氷上の高速レースたるボブスレーにテクノロジーを提供するのも当然といえば当然かもしれません。
ボブスレーはコース設定にもよりますが、平均的に100km/h、最高速はじつに150km/hに至るという高速競技。となると、空力に関する技術をはじめ、滑走中のステアリング性能や車体剛性などBMWにとっては得意分野に違いありません。
実際の開発は空洞トンネルを駆使したボディの徹底的な空力性能のアップと、ボブスレーコースで受ける強力なGの解析&対策、そして乗員2名を含めたエルゴノミクスなど多岐にわたっており、乗用車部門はもちろん、モータースポーツ部門まで総動員がなされたとのこと。
さらに、BMWはボブスレー選手のスパイクシューズまで開発しています。同競技は選手が氷上を駆けて最初の加速を得るので、この初動こそ勝負のわかれ目。そこで、通常はシューズの裏にピンが固定されていたものを、BMWは交換式スパイクシートを開発。これによって選手ごとにスパイクパターンのカスタムが容易になったばかりか、シューズごと使い捨てにもなりづらいというメリットを生み出したのです。
ボブスレーやリュージュで苦戦が続く日本チームも、国内メーカーの協力で「氷上最速マシン」を手に入れてほしいものです。
ミシュラン&テニス
BMWがスパイクシューズを作ったなら、ミシュランはテニスシューズのアウトソールにテクノロジーを注ぎました。選ばれたシューズメーカーはフランスで1875年からラケット競技むけシューズを作っている名門「バボラ」で、路面(コート)とタイヤ(アウトソール)の摩擦というふたつの面をコントロールすることは、ミシュランのもっとも得意とするところ。
タイヤは求められる性能によって決まったパターンや形状がありますが、アウトソールの場合も同様で、ミシュランはここに足の動きを取り入れることにしたそうです。シューズの内側はアウトソールがもっとも摩擦を受ける箇所であるため、パターンが密集。一方で、グリップだけを判断基準とせず、テニス特有の動き、とくに横方向の動きも考慮する必要があったとのこと。
また、あるときは強力で即効性のあるグリップが必要でありつつ、あるときはスライドを可能にする程度の弱グリップも必要となるなど、まさにパフォーマンスのよし悪しはタイヤと共通していたのです。
むろん、ラバーのレシピ変更や、耐摩耗性といった面でもミシュランのテクノロジーが活用され、いまやバボラのシューズはほとんどがミシュランのアウトソールを採用しているとのこと。こうしたコラボレーションがタイヤづくりへ再びフィードバックされていることはいうまでもなく、ミシュランはさらなる進化を遂げているというわけです。
似たような例としては、ブリヂストンがゴルフシューズをラインアップしていますが、クルマ好きとしてはさらなる拡大を望みたいところ、ではありますね!