この記事をまとめると
■ホンダのライトバンとして1996年から販売されていた「パートナー」
■商用ライトバンなのに四輪独立ダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用
■荷室スペースへの張り出しが不評だったので2代目モデルは足まわりが変更された
シビック譲りの足まわりで爽快な走りを実現した商用車
近年ではベースとなるステーションワゴンが姿を消しているため、プロボックスとADバンのみとなってしまった商用ライトバンと呼ばれるモデルたち。しかし、過去にはトヨタと日産以外のメーカーもライトバンをリリースしていた時期があった。そんなライトバンのなかでもひと際異彩を放っていたのが、ホンダがリリースしていたパートナーである。
パートナーは1996年にシビックプロ(1980年代のホンダは商用モデルに“プロ”と名付けていた)の後継車種として登場したモデルで、見た目は当時のライバル車種であるカローラバンやADバンと大差ないスタイルを纏っていた。
しかし、異彩を放っていたのがそのメカニズムで、なんと商用ライトバンでありながら、4輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用していたのである。
これはベースとなったのがステーションワゴンのオルティアで、オルティアがシビックのプラットホームをベースとしていたことで異例の足まわりを持つ商用ライトバンが生まれてしまったというワケなのだ。
さすがにシビックに搭載されたDOHC VTECやオルティアの1.8~2リッターエンジンは搭載されなかったが、ホンダらしくよくまわるエンジンと簡素化された装備からくる軽量さも相まって、シビック譲りの軽快なハンドリングを楽しむことができる1台に仕上がっていた。
ただ、リヤがダブルウイッシュボーン式サスペンションということで、荷室スペースへの張り出しが大きくなり、積載性の観点からするとライバルに一歩劣っていた。走りより積載性を重視する事業者からは敬遠されがちで、販売台数はライバルに及ばないものとなってしまっていたのもまた事実だった。
ちなみにパートナーは2006年3月にフルモデルチェンジを果たし2代目に進化するが、ベース車がエアウェイブとなったことで4輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションは廃止(フロント:ストラット、リヤ:トーションビーム)となってしまった。
しかし、このクラスの車種では唯一となる5速ATを採用したり、タコメーター付のメーターを採用したりと、走りのホンダを感じさせる要素は引き続き備わっていた点は面白いポイントといえるだろう。