この可愛さなのに「パラシュートで降下できる軍用車」として誕生……も採用されず! 隠れファンの多い「ミニモーク」は消えそうで消えない不死鳥カーだった (2/2ページ)

生産終了になっても不死鳥のように蘇ってきたミニモーク

 ミニモークMK-1は1968年には早々に英国での生産が中止となってしまったが、モークのノックダウン生産を行っていたレイランド・オーストラリア社が改良版である「ビッグモーク」のライセンス生産を続行。1973年までは「モーリス・ミニ モーク」として、そして1973年から1981年までは「レイランド・モーク」として販売された。

 オーストラリアではホテルのビーチワゴンやゴルフのキャディカーなど多彩な活躍の場があったため、まずまずのヒットを記録。850ccのエンジンはパワー不足を理由に1098ccに拡大され、ホイール径も10インチから12インチにアップするなどの改良が施された。

 その後、1972年にはレクリエーショナルビークルとしての要素の強い「モークカリフォルニアン」が登場。こちらのエンジンはクーパーS用の1275ccを搭載し、ホイールも13インチを採用している。

 1981年にオーストラリアでの生産が終了すると、今度は生産拠点をポルトガルにあったレイランドの子会社に移し、引き続き「カリフォルニアン」を製造。そして1990年、イタリアのオートバイメーカー「カジバ(CAGIVA)」がモークの販売権を獲得。同じくポルトガル国内にて「カジバ製モーク」は1993年まで、改良を重ねながら作り続けられた。

 1993年に生産終了となったカジバ製モークだったが、2017年には英国のモーク・インターナショナル社が権利を買い取り、最高出力67馬力の1089cc4気筒エンジンを載せて英国でパーツを作り、フランスで最終組み立てを行うようになった。

 そんな復活版モークも2021年10月には生産中止が発表されたが、同社は「代わりにピュアEVのモークを作ります!」と宣言。そしてEV版モークは、確かに2022年5月、英国での生産が開始され、2022年10月には米国でBEVの「モークカリフォルニアン」が発売された。

 エレクトリック版モークは33kWのモーターで後輪を駆動し、車重は800kg。トップスピードは80km/hで、航続可能距離はWLTCモードで約86kmだが、モーク・インターナショナル社は「実際に街や海辺などで使う際は72~129kmになるはず」と公式サイト内で述べている。

 以上のとおり不死鳥のごとき復活劇を続けているモークは、いまなお(その気になれば)購入できないことはない。ガソリンエンジンを搭載したモークの中古車価格は2024年5月上旬現在で360万~450万円といったところ。そして、そのまま日本にもち込めるかどうかはさておき、EV版モーク カリフォルニアンの価格は4万1900ドル(約645万円)からとなっている。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

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