わずかなエアロの違いでこんなに変わる? しなるホイールで走りがここまで違う!? 「Modulo30周年」試乗会で感じたホンダアクセスの衝撃の実力!! (2/2ページ)

注目の最新ホイールが凄い!

 このように、どのクルマでも一貫している走り味があるところがModuloの凄さだ。

 じつは、これらののちに発表されることになるModuloXでもそれは同じであり、軽自動車のN-BOXやSUVのヴェゼル、そしてミニバンのステップワゴンであっても変わらない。「そんなクルマにこだわりの走りが必要なのか?」と思うかもしれないが、実際にこれらのモデルはいつでも走りやすく質感はいずれも高い。

 ステアリングにはしっかりとした手応えで路面のフィールを与え、リヤからはどっしりとした安定感がシートを通じてドライバーへと伝えられてくる。おかげで、たとえば雪上であっても安心感はかなり高い。フロントのグリップを絶対に外さず、一方のリヤはそれにしっかりとついてくるからだ。走りの質にブランドがある、それがModuloといっていいだろう。

 一体なぜこんな世界観が出来上がったのか?

 それは開発者だけでなくデザイナーやモデラーまでもがテストコースを走って風を感じながら製作してきたからだ。はじめはそんな開発姿勢を納得しなかったらしいが、いかに空力が大切かを確認するために、あえて極端なエアロを製作し乗らせたのが、通称「ぬりかべ」と名付けられたS660の箱だ。

 これに乗ると、時速30〜40kmであってもフロントの接地感がなく、旋回時にはフロントが抜けて行く感覚になる。さらに、横風などの外乱も受けやすいのだ。これは狭い道に突っ込んで行く際に信用できない感覚だ。

 ノーマルに戻すとそれよりも遥かに操舵角が少なく旋回することが可能になりピタリと安定。最後にModuloのコンプリートカー状態にすると、ノーマル以上にステアリングの手応えがしっかりとし、素直にノーズが入って行く感覚になる。

 さらに面白かったのは、定常円旋回時におけるリヤのイン側の空転が減ったことだった。ボディ下部の空気の流れがよくなり、結果としてリヤの浮き上がりが抑えられたということのようだ。恐るべし実効空力である。

 いま、そんな世界観を確立したModuloが、次なる世界を求めて動き出している。

 それはホイールの設計思想の変更だった。ホイールもサスペンションの一部として考えたこのホイールの特徴は、軽量・高剛性であることが正義とされている常識を打ち破り、リムとスポークの剛性をあえて落とすことで、剛性バランスにこだわった逸品だ。

 ホイールがしなることでタイヤの接地面圧を高め、さらにタイヤを使い切ろうというのである。じつはS660 Moduloに装着していたMR-R01でも採用していた手法だったが、マイナーチェンジ後のヴェゼルに対してオプションパーツにラインアップされることが決定した。MS-050と名付けられた18インチがこれだ。

 走らせてみると、ステアリングを切り始めた瞬間からリニアに応答し、そこからさらに切り込んでみても一定した反応が得られることで扱いやすさが高まっていた。ノーマルは微小操舵域の反応が薄く、タイヤが潰れ始めたところから極端にいえば一気に反応してくる感覚。比べてしまうとリニアさは薄い。結果として狭いコースを駆け抜けようとしたとき、MS-050のほうが自信を持って突入できる感覚がある。

 狭いワインディングではこれは嬉しい仕上がりだ。また、後席に乗っていても、ドライバーの操作に常にリンクした動きを感じられるため、遅れて揺さぶられるようなことがないところがなかなか快適。車酔いの心配も少なくなるだろう。

 いまある常識がすべてだと思い込まず、常に走り込んで独自の製品を作ってきたModulo。まだまだ信じられない方々もいるだろうが、乗れば誰もが理解できるであろう世界が存在する。いまでは試乗イベントなどもたびたび行われているようなので、そんな機会があった際には是非ともお試しいただければと思う。そのよさを実感することは間違いない。


新着情報