運転支援技術の進化で今後のクルマ社会が大きく変化する
とはいえ、大きなクルマと軽自動車が衝突すれば、その衝撃は軽自動車のほうが大きくなるのは物理的現実として当然のことだ。ニュートンの運動方程式は、F=maであり、力(F)は、質量(m)に比例して大きくなるからだ。軽自動車と登録車の衝突実験を見学すると、軽自動車のほうが大きく跳ね飛ばされる実態がある。
しかし、運転支援装置の進化により、衝突の危険性は減っている。衝突しなければ、軽自動車であろうと登録車であろうと、危険性への懸念は大きく減る。
クルマの安全性向上の歴史は、衝突安全からはじまった。しかし、本筋からすれば、ぶつからないようにすることが第一ではないだろうか。その時代に入ってきている。自動運転も、単にラクに移動できるというだけでなく、自動運転を通じてぶつからないクルマが普及すれば、クルマの大小を問わず安心して乗ることができる。その視点で、自動運転への期待は高い。
同時にまた、環境負荷を含め、大きなクルマがもてはやされる販売状況も見直しの検討が必要ではないか。電気自動車(EV)は、小さな高級車という価値を手に入れられる。静粛性や乗り心地、加速のよさなど、これまで上級車種でしか得られなかった価値を手に入れることができる。脱二酸化炭素だけでなく、クルマの本質的価値を高められるのがEVなのだ。加えてEVは、自動運転との親和性も高い。
事故の心配がない安心できる移動手段で、なおかつ快適に気もちよく、また楽しく操れるクルマの価値の追求が、21世紀の新たなクルマ社会を創るのだと思う。