ウソだろ! そんな開き方!? 個性にもほどがあるドアをもつクルマ5台 (2/2ページ)

国産車にも冒険したモデルあり

 さて、日本車にも面白いドアはあります。4台目は2015年に登場したホンダの5代目ステップワゴンに装備されていた、通称「わくわくゲート」という5つ目のドア。これはなんと、ラゲッジ側からの乗り降りを可能とするため、バックゲートに装備されていました。

 Mクラスミニバンのステップワゴンは、3列目シートがくるりと回転して、床下に格納することができるのが大きな特徴。出っ張りも段差もないフラットなフロアになるので、それならここからも乗り降りできるようにしたら、狭い場所でも後席へのアクセスが良くなるのではないか、背の高い荷物や、狭い場所での荷物の出し入れがスムースになるのではないか、というところから実現したドアです。

 実際のユーザーからは大好評で、「もうこのドアがないミニバンには乗り換えられない」といった熱烈な評価を受けていたそうです。ただ、バックゲートにどうしても縦の線が入ってしまうことから、後方視界が気になるという人や、生理的に苦手というユーザー以外の人たちの声も多く、残念ながら6代目となる現行モデルでは廃止となってしまいました。

 5台目は、デザインにおいて常に果敢なチャレンジをしているマツダから、ついにロータリーエンジンが復活したと話題のMX-30 Rotary-EV。2020年のマツダ100周年を記念して、ハイブリッドやBEVが先行して登場していたコンパクトSUVですが、ロータリーエンジンを発電専用に搭載し、EVとして約107kmの走行が可能となるPHEVが追加で発売されました。

 そのMX-30シリーズのドアは、最後のエンジンとしてのロータリー搭載車となったスポーツカー、RX-8でも採用していた観音開きドア。スポーツカーに採用した時にも驚きましたが、コンパクトSUVでの採用もほかに例がないもの。名称にMXと付いていることからも、ロードスター(欧州名でMX-5)などと同じスペシャリティモデルという位置付けであることが想像されますが、ドアにもその個性がしっかりと表現されています。

 ドアの開け方は、まずフロントのドアを開けてから、リヤのドアを開けられるドアノブが出てきます。閉める時は、その逆の手順で閉めることになります。そのため、後席の人が自分で乗り降りするのはちょっと大変。実際のユーザーからは「子どもが勝手にドアを開けて降りてしまわないので安心」という声もありますが、やはり頻繁に後席のドアを開け閉めするような使い方にはちょっと面倒という声も。あくまで1〜2人で乗ることが基本で、たまに後席を使うような乗り方にあっているようです。

 ということで、ドアの開き方というのはそのクルマの個性となり、驚きや愛着をもたらすものですね。今後も、今までになかったドアの登場に期待したいと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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