一度見たら忘れられない「衝撃フェイス」! 「秀逸顔」な国産車3台と「正直理解不能な顔」の国産車3台をデザインのプロが斬る!! (2/2ページ)

オラ顔の原点はもしかしたらコンパクトカーにあった?

威圧というより悪目立ちな? 顔つき

 さて、後半はよくない意味での「ぶっ飛び顔」として3台を選んでみましょう。まずは2005年登場の2代目トヨタbBから。

 カスタマイズ市場を意識した初代は、その素材として「箱」を意識した比較的シンプルなスタイルでしたが、「クルマ型Music Player」をテーマに登場した2代目は、初めから「改造っぽい」ウネりを効かせたスタイルを特徴としました。

 とりわけ、悪目立ち全開のフロントフェイスは何とも醜悪で、ストリート系というより悪魔系? いまどきはメッキのオラオラ顔が話題ですが、その原点はここにあったのかもしれません。

ヘンテコリンな顔はもしかしてウケ狙い?

 続いては、三菱のミラージュ・ディンゴ。スペース重視のニーズに合わせ、SUW=スマート・ユーティリティ・ワゴンを標榜して1999年に登場した新ジャンルコンパクトです。

「イノベイティブ・コンパクト」をテーマに、初代ミラージュの六角形断面を再現したボディは超個性的。そのテーマに沿ったと思えるフロントも、縦長の五角形? ランプがほとんど理解不能で、とにかく「ヘンテコリン」としかいいようがありません。

 よし悪しはともかく、ときおり見せる突飛さが当時の三菱っぽさともいえますが、このクルマに関しては誰かが途中で止めなかったのか? という素朴な疑問は残ります。

メーカー自らが修正した「やり過ぎ」スタイル

 最後は比較的新しいところから、先代の4代目トヨタ・プリウスとします。TNGA採用の第1号として走りの良さをアピールし、2015年に登場。

「ICONIC Human-tech」をテーマにしたボディは、前方にピークを置いた低重心のトライアングルシルエットが特徴的。そのアンバランス感もさることながら、縦に伸びる形状不明のランプが置かれたフロントは、よし悪しを通り越した異様さに溢れていました。

 当時のトヨタデザインは、ラインをこねくり回した強引な個性化が目立ちましたが、ある意味その頂点がこの顔だったのかもしれません。マイナーチェンジであっさり修正したところに残念さが滲みます。

 さて、今回はフロントフェイスに注目して6台をピックアップしましたが、もちろん顔だけに個性があるのではなく、結局はスタイリング全体の話でもあります。「クルマは顔が命」と思われがちですが、それはチョット違うのかもしれません。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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