雨が降ったら手で溝を掘って使うってマジ!? 価格は1本約7万円!  意外と知らない全日本ラリーのタイヤ事情 (2/2ページ)

タイヤ選択に注目して全日本ラリーを観戦するのもおもしろい

 また、ダンロップのFIA登録ターマック用タイヤは「ディレッザ301R」と「ディレッザ201R」の2種類で、301Rがドライ用、201Rがウエット用としてラインアップ。

 一方、ミシュランのFIA登録ターマックタイヤ「パイロットスポーツ」もドライ/ウエットがラインアップされているようで、ドライには数種類のコンパウンドが設定されているようだ。

 いずれもピーク時のグリップは低いようだが、安定性が高くなっているようで、GRヤリスRally2にヨコハマのA051Tを装着する奴田原選手は「耐パンク性が強くて長い走行距離も走れる。それにグリップが安定して継続していることが最大の特徴です。ウエットではSSのコンパウンドで対応していますが、大雨が降ればハンドカットが有効になってきます」とのこと。

チーム関係者と談笑する奴田原選手

 一方、スバルWRXに301R/201Rを装着する鎌田選手は「いままでの国内ラリータイヤはグリップを上げてコーナリングスピードを高くする方向でしたが、FIAの登録タイヤはタイヤ幅が狭いので、四輪をうまく使ってコーナリングするようなタイヤになってきました。ピークのグリップは低いけれど、早めに向きを変えて立ち上がるようなドライビングで対応しています」と語る。

 さらにシュコダ・ファビアR5にパイロットスポーツを装着する福永修選手によれば「しっかりしたタイヤでコントロールがしやすい。ライフが長いのでロングステージを走っても安定しています」とのことだ。

 1大会に使用できるタイヤ本数は10本で、いかにタイヤをマネジメントするかが勝敗の鍵を握る。今大会のようにレグ1がフルウエット、レグ2がドライ主体となるとタイヤ選択が難しく、しかも、タイヤメーカーによって特性が異なることから、時としてタイヤ選択が明暗を左右することになる。

 ちなみに、JN2クラス以下はいわゆるタテ溝が2本入った公道走行が可能なタイヤが使用されており、ワンメイクレースなどで使用されているハイグリップラジアルタイヤの装着も可能だ。

 ヨコハマユーザーの多くは「A08B」を採用しており、ダンロップユーザーはJN1と同様に301R/201Rを採用。なお、JN2クラスのサブカテゴリーとして新設されている若手ドライバーの発掘・育成クラス「MORIZO Challenge Cup」はダンロップのワンメイクコントロールが実施されており、301R/201Rよりもコストが安価でライフが長く、性能変化の少ない「Z3」がオフィシャルタイヤとして採用されている。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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登山
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