この記事をまとめると
■メルセデスのハイパフォーマンスカー、GTがフルモテルチェンジ
■「メルセデスAMG GTクーペ」として生まれ変わった
■筑波サーキットでの試乗インプレッションをお届けする
筑波サーキットでAMG GT63 4MATIC+クーペに試乗!
メルセデスのハイパフォーマンスカーであるGTがフルモテルチェンジされ「メルセデスAMG GTクーペ」として生まれ変わった。従来2ドアで2シーターモデルとしてラインアップされていたGTだが、今回は「クーペ」のネーミングがつき、2+2の4シーターモデルもオプションで設定されている。今回は標準仕様である2シーターの新型AMG GT63 4MATIC+クーペに、筑波サーキットで試乗することができたのでリポートしよう。
試乗テストではタイムアタックも可能ということで、ヘルメットにレーシングスーツを着込んでの走行となった。用意されたクルマは標準の2座席仕様だ。2座席の場合は後部座席部分がラゲッジスペースとなっている。
従来のGTはフロントミドシップエンジン、リヤトランスアクスルというパワートレインレイアウトで、リヤアクスル周辺にはあまりスペースがなく、後席を設定するのは不可能だった。またラゲッジルームにも制約があり、そういう意味での実用性向上を希望する声が聞かれていたのも事実だ。
今回のGTクーペは、フロントエンジンにトランスミッションを通常のFRモデルのように連結し、後輪リヤアクスルにはデファレンシャルのみが装備されるレイアウトとなっている。いわゆる一般的なFRレイアウトで、リヤのラゲッジスペースもかなり拡大され大きくなった。大きなラゲッジスペースが備わったことで、単なるスポーツカーというだけでなく、スペシャリティーカーとしての実用性の高さも新しい魅力として備えているということができる。
パワーユニットはM177型のV8、4リッター直噴ターボエンジンで、ホットインサイドと呼ばれる独自のツインターボ搭載位置を継承している。昨今の状況のなかであっても電動化アイテムを備えておらず、純ガソリンエンジンのハイパフォーマンスカーとして登場させられているのは嬉しい限りだ。
そのエンジンが発する最高出力は585馬力、最大トルクは800Nmと強力で、最高出力は従来のGT最強モデルだったGT-Rと同等。最大トルクはGT-Rの700Nmを上まわっている。これを駆動するのは今回新たに採用された4MATIC+の四輪駆動システムとなっている。
従来のGTは後輪2輪駆動だったのだが、今回4輪駆動となったことで、よりハイパワーを余すところなく路面に伝えることができるはずだ。
4MATIC+は走行状況やドライバーの操作に応じフロント50:リヤ50からフロント0:リヤ100と連続可変動力配分制御され、ハンドリングとトラクションのバランスを高度に保っている。
左ハンドルのみのラインアップで、乗り込みエンジンを始動させるとV8エンジンの心地よいサウンドが発せられる。
ドライブモードとしてAMGダイナミックセレクトが装備され、「スリッパリー」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」「レース」「インディビデュアル」の6つの走行モードから選択できる。レースモードは一般道での使用が禁じられるほど過激なモードとなっている。そこで、普段なかなか試すことができないレースモードをサーキットという場で試すことができるのだ。
トランスミッションは9速のAT。AMGスピードシフトMCTが備わっている。これはクラッチによって駆動力制御が行われるフルオートマティックギヤであるが、ステアリングのパドルを操作することでマニュアルシフト操作もできる。レースモードではおもにこのマニュアルシフトを使っての走行が推奨されているようだ。ツインクラッチシステムなどだとマニュアルシフトで走った場合に出力のロスが大きいが、本機では積極的にパドルを使っての操作が可能である。
また今回ドリフトモードが備わっていることも注目される。従来のAMG GTは後輪2輪駆動ゆえ、トラクションコントロールをオフにすれば嫌でもドリフト領域に入ってしまうのだが、4MATIC+が採用されたことでドリフトを引き出すためフロント0:リヤ100の駆動力配分が可能となった。これでFRのようなドリフト走行が行えるわけだ。サーキット場ではこうしたモードも楽しめることになる。またローンチコントロールを備えることで誰でもゼロ発進100km/h加速で3.2秒の加速を引き出すことができ、その圧倒的な性能は従来のAMG GTから少しも見劣りしていない。