ホンダ・ステップワゴンってどんなクルマ? 詳しく解説! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ホンダのミニバンとして定番のステップワゴン

■現行型ステップワゴンは6代目となる

■現行型ステップワゴンについて詳しく解説

6代目となった現行ステップワゴンとは

 6代目となる現行モデルが登場したのは2022年5月。2022年といえばステップワゴンのライバルとなるトヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナもフルモデルチェンジ。国産ミドルクラスミニバンがいずれも世代交代したことで大きな注目を集めています。

 現行モデルでもっとも注目を集めたのはエクステリアデザイン。ライバルのコンセプトとは大きく異なり、初代や2代目に原点回帰したようなプレーン&スクエアなフォルムを身につけて登場しました。

 また、全車3ナンバーサイズとなったことも現行モデルの特徴。ボディの拡大により、ミニバンに求められる室内空間が先代からさらに広くなりました。同時に利便性&快適性が先代モデルと比べて向上しています。

 パワーユニットは先代同様、2タイプを用意。L15C型1.5リッター直4ターボエンジンと、LFA型2リッター直4エンジン+モーターの“e:HEV”ことハイブリッドユニットがラインアップされました。

 販売台数こそライベルと比べてやや劣っていますが、大きな個性を得たことで指名買いが増したのが現行モデル。現在も半導体不足の影響などで納期が半年程度(ガソリン車は半年以上)かかっていますが、納車期間が落ち着くことで販売台数も伸びていきそうです。

現行ステップワゴンの特徴

初代、2代目に原点回帰したプレーンなデザイン

 ミドルクラスミニバンといえばアクが強いフロントマスクやメッキを多用した、グリルを強調したモデルが人気を博しているのはご存じのとおり。

 ただ、現行モデルが選んだのはシンプルでスクエアなフォルム。初代やボディサイドとキャビンを一体化したような2代目が備えていたステップワゴン“らしい”世界観を、現代にリファインしたのが現行モデルのデザインです。

 それはカスタム仕様のSPADAも同様。専用デザインのフロントグリルや前後バンパーなどで標準モデルより精悍なフォルムを備えましたが、ワル顔というよりは高級感を備えた佇まいを備えました。

 5代目と比べてAピラーの傾斜が緩やかになりボンネットも長くなりましたが、その結果、視界が悪化することを防ぐために参考としたのは、なんと2代目ステップワゴン。同車をベースに改造車を作り、VRなどでのデータ検討とともに運転席からの最適な視界を実現すべく開発が行われています。

拡大した全長によりトップレベルの室内空間を実現

 ミニバンに求められるのが広大な室内空間。現行モデルは全長を4800〜4830mmとトヨタ・ノア/ヴォクシー、日産・セレナより大きなサイズを備えました。

 先代モデルが全長4690〜4760mmでしたので、約100mm延長された全長の大部分は前後オーバーハングの拡大に充てられています。

 拡大されたボディにより室内空間も拡大。とくに3列目シートの快適性が先代と比べて大きく向上しました。

 ラゲッジルームは3列シートを倒さない状態では、250mmほど下げられた床下スペースにより天地方面に大きく拡大。この床下スペースには畳んだ3列目シートが格納されます。

 ラゲッジに関して、先代に用意されたわくわくゲートが採用されませんでしたが、歴代初となる電動テールゲートを装備。テールゲートの張り出しこそ大きくなりますが、新装備は開閉角度を設定することが可能な便利装備です。

快適で利便性が高いくつくろぎ空間

 乗車定員は8人乗りと7人乗り両仕様をラインアップ。ただし、新型で8人乗りを選ぶ場合はオプション設定となります。

 先代から大きく進化したのが、7人乗り仕様の2列目シート。ライバルとなる日産セレナに装備されているような左右スライド機能を備えたことで、利便性が大きく向上。また、上級グレードにはシートヒーターやオットマンが備わります。

 さらに、先程お伝えしたように3列目シートの居住性が大きく向上。ヒップポイントが高められたほか、大型化やクッションを厚くするなどシート自体にも改良が施されました。

衝突安全性が向上したプラットフォーム

 6代目となった現行モデルのプラットフォームは先代からキャリーオーバー。ただ、全長が伸ばされたことや車重が増したことに対応するため改良が加えられています。

 サイドシル断面の拡大などにより剛性を高めていますが、大きく重くなったボディに合わせて衝突安全性を高めることにも力が入れられました。

 具体的には、フロントアッパーメンバーの設計を変更しエネルギー吸収性能を高めたほか、サイドシルスティフナーの厚みを増すなどで衝突安全性能を向上。これらの改良は剛性向上にも貢献しています。

 サスペンションも基本構造は先代からキャリーオーバー。ボディ同様、改良が施されたサスペンションは乗り心地向上を図るとともに、操縦安定性も高められました。

パワーユニットはターボエンジン&ハイブリッド

 現行モデルのパワーユニットも先代同様、1.5リッター直4ターボガソリンエンジンと2リッターエンジン+モーターのハイブリッドユニット“e:HEV”が用意されました。ただ、両ユニットともに改良が施されています。

 1.5リッターターボエンジンの大きな改良ポイントは熱効率の向上。基本骨格こそ先代と同じですが、フリクションの低減やEGR(エンジン・ガス・リサキュレーション/排気ガス再循環)量増大、圧縮率比を高めたことなどで熱効率が1.4%向上しました。

 一方、e:HEVはシステム自体を刷新。モーターやPCUの素材やレイアウトを変更し、耐熱性や冷却効率がアップ。また、走行時のバッテリー出力も増加しています。

 その結果、1.5リッターガソリンエンジンの燃費は13.7〜13.9km/L、e:HEVは19.6〜20.0km/Lと1.8tを超える車重ながら軽快な走りと高燃費性能を実現しました。

6代目ステップワゴンのグレード&価格

 現行ステップワゴンのグレードと価格は以下の通り。グレードはガソリン、ハイブリッドともに標準グレードの「AIR」、カスタム仕様の「SPADA」、最上級グレードの「SPADA PREMIUM LINE」の3タイプがラインアップされます。

 先代まではエントリーグレードが200万円台だったことに対して、現行モデルはもっとも安いグレードでも300万円を超えてしまいました。

 ただ、先代はわくわくゲートのありなし、シート表皮、パワーフライドアなどグレードによる装備の差が大きかったことに対して、現行モデルはAIRとSPADAの差はおもにエアロパーツの有無など外観の差。

 そのほかはシートヒーターや全列USBチャージャーの有無など装備の違いは少なく、パワーユニットや駆動方式(4WDはガソリンのみ設定)を考えない場合、見た目の好みがグレード選択のポイントとなります。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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