人気だったゆえにど素人がノーメンテで乗っていたような個体も危険
だがこれは「車種軸」で考えた場合の結論であり、「個体軸」で考えるなら、やはり「魅力的だが要注意な中古輸入車はいまでもある!」という結論にならざるを得ない。
そして個体軸で考えた場合の「魅力的だが要注意な中古ガイシャ」の車名と条件をなるべく具体的に挙げるなら、おおむね下記のとおりとなるだろう。
魅力的だが要注意その1:セレスピードのアルファロメオ147
走らせるとめちゃめちゃ楽しいイタリアン・ハッチバック。そしてアルファロメオが一時期使っていた「セレスピード」というぶっ壊れやすいセミATも、いまではメンテナンスの知見が蓄積されたことで、対策は比較的容易になっている。それゆえしっかりとしたイタリア車専門店で買うのであれば、セレスピードのアルファロメオ147でもとくに問題ない場合はある。
だが、とくに専門性のない「よろず中古車販売店」でセレスピードの格安147を買うのは危険であり(※その場合はMTの147だって危険だろう)、専門性があるように見えてじつはあんまりない「なんちゃって専門店」で買うのも避けたいところだ。
魅力的だが要注意その2:メルセデス・ベンツ500E(W124型)
いわずと知れた5リッターV8DOHCエンジンをW124型Eクラスにぶち込んだ1990年代前半のモンスターセダン。基本的には頑丈なクルマだが、さすがに初度登録から30年級の時間が経過しているため、あちこちの部品を順次交換しながら維持していく必要はある。
だが交換をするための部品がいま、あまり出てこないのが500Eの実情だ。交換したくても部品がなく、あったとしても値段がバカ高くなってしまっている場合もある。かなり魅力的であることは間違いないメルセデス・ベンツ500Eだが、もしもこれから入手するのであれば、そのあたりの困難は覚悟しておくべきだろう。
魅力的だが要注意その3:第2世代ミニの各モデル(R56、R60、R55など)
小気味良い走りとしゃれたデザインが楽しめるというのが、3ドアハッチバックに限らず「ミニファミリー」全般に通じる魅力だ。しかし、第2世代のミニ(R56、R60、R55など)は、エンジン内部のチェーンガイドやチェーンテンショナーが走行中に破損してしまう場合があり、ディーゼルターボエンジンではエンジン内部に煤が詰まって不調をきたすことも多い。
こちらも、しっかりとした知見と技術を持っている専門店で購入するなら(たぶん)大丈夫なのだが、「よろず中古車店」や「なんちゃって専門店」の格安な第2世代ミニは、(たぶん)目利きと対策が不十分である可能性もあるため、正直あまりおすすめしない。
ちなみに第2世代に限らずミニ全般は、きわめてライトな層のユーザーがデザインだけに引かれて購入したケースも多い。そのため、中古車のなかにはエンジンオイルの管理がきわめて悪かったため、内部がヘドロ状になっている個体もけっこうある。
そのほかでは「AL4」という4速ATを搭載していたフランス車全般も要注意なのだが、これにしたって、個体によっては(歴代オーナーの扱い方とメンテナンスによっては)ぜんぜん大丈夫だったりもする。そのため、「AL4は絶対に避けたほうがいい!」と断言してしまうのも間違いなのだが、とはいえ最近はAL4搭載のフランス産中古車もおおむね絶滅傾向にあるため、もはや割とどうでもいい問題なのかもしれない。