各社がこぞって欧州テイストなマシンを投入
スバルの和製ユーロモデルはまだまだあった。2002年2月に発売されたインプレッサスポーツワゴン「TYPE EURO」だ。これまたスバルのモータースポーツ専門会社のSTIとポルシェデザインが共同開発した特別仕様車であり、STIとポルシェデザインの共同開発アイテムとしてグリル一体式フロントバンパー、リヤバンパー、ルーフスポイラー、17インチアルミホイールがある(基本的な変更点はレガシイBLITZENと同様)。
ポルシェとの共同開発ではないが、「TYPE EURO」専用装備としてアルミボンネット、スポーティシートやリヤエンブレムも装着されていた。元々、ハイレベルな走行性能に加え、ポルシェデザインのユーロテイストが加わったのだから、マニアに響いたのは当然。もっとも、ポルシェ風のヘッドライトはともかく、大口を開けたようなポルシェデザインのバンパーがチョーかっこよかったかは、微妙だが。
次に紹介するのは、日産パルサー。その3代目(1986年~)に存在したパルサーミラノX1である。もともと、「パルサー・ヨーロッパ」、「ヨーロッパの体温」!? をキャッチフレーズとした世界戦略車であり、もちろん、欧州を始めとする世界市場で活躍した1台だ。
そんなN13型パルサーはサスペンションを一新し、ターボを設定せず、X1ツインカムグレード用にCA16DE型1.6リッター4バルブDOHCエンジンを新開発して搭載。駆動方式はFF、ミッションは5速MTのみという、まさに和製ユーロモデルと呼ぶに相応しいホットハッチモデルだったのである。「どこがミラノか?」と問われれば答えに窮するが、欧州車基準の走り、シートなど、欧州車テイストがちりばめられていたことは間違いない。
一方、テイストだけ和製ユーロモデルと言えるのが、初代が1999年に登場したホンダ・アヴァンシアだ。和製ユーロモデルのポイントは車名。アヴァンシアとはフランス語で前進する、という意味のAVANCERからの造語。とくに2001年のマイナーチェンジで加わったヌーベルバーグ(フランス語で新しい波の意味)グレードは、専用チューニングのローダウン(15mm)サスペンション、専用16インチタイヤ&アルミホイールを奢り、ボディカラーに「ミラノレッド」が選択できるなどの、欧州(フランスとイタリア)をイメージした、主にネーミングで表現したユーロスポーツモデル的キャラクターだった。
もっとも、当時はアコードワゴン、オデッセイが人気で、アヴァンシア自体はその影に隠れた存在となっていて、国内では1代限りのモデルとなったのだが……。
ということで、和製ユーロモデルでも、本格なモノとそうでもないクルマもあるということだ。欧州車から乗り換えても満足できるか否か、それはクルマ自体の資質にかかっている。欧州に輸出している日本車の和製ユーロモデルなら、より期待はできるかも知れないが、肝心な走りを含めた商品力が欧州車に迫っているかは微妙である。とはいえ、欧州車経験がないのであれば、気分はユーロ……な満足感はあるかも知れない。