ガソリン価格の高値安定で日本のHEVに再脚光
筆者が初めて南カリフォルニアを訪れたとき、確か1ガロンあたり73セント(約110円/1リットルあたり約29円)であった。かつて「水より安い」といわれたアメリカのガソリン価格も、いまや日本と大した違いがなくなっている。
アメリカでは通勤をはじめ、生活のあらゆる移動はクルマがすべてというところが圧倒的に多い。しかし日本のように通勤交通費が出るわけでもない。ガソリン価格の高騰は家計を即直撃するのである。
そのガソリン価格がここのところ「高値安定」している。日本とは異なり、ちょっとしたことでもすぐに価格アップしてしまう。このような環境のなか生活防衛の観点からHEVがとくに注目されているように見える。
純粋なICE(内燃機関)車でも、同クラスで日本車とそのほかの国のブランドのモデルを乗り比べると、見た目や質感などはほとんど変わらなくとも、燃費性能では明らかに日本車が秀でている(環境性能も)。それをベースとしたHEVならば、必然的に燃料費の負担軽減には存分に効果を発揮する。
アメリカを例にしたが、このような傾向は東南アジアやほかの地域でも同じと考えられる。とくに事実上当事者として戦争状態が続いている欧州で調べてみた結果、ドイツやフランスでは1リットルあたり300円を超えていた。
日本では昨今のガソリン価格問題が噴出する前から、ガソリンスタンド廃業を加速させているといわれるぐらいHEVが普及している。「災い転じて……」ではないが、世界的にHEVの普及が進めば、新興国では大気汚染の改善も進んで「BEVではなくてもいいのでは」となり、政治的思惑もあってエキセントリックな普及が進んでいるBEVの動きにも変化が訪れるだろう。冷静に地球環境を意識したなかでのクルマの今後というものが世界レベルで話し合えるかもしれない。