Euro NCAP(ユーロ・エヌキャップ)が3月に出した提言に対して、自動車産業界やユーザーの間で賛否両論がある。これは、昨今のトレンドである車内タッチパネルのあり方を見直し、手動のスイッチである、いわゆる「物理スイッチ」の採用を求めるものだ。
Euro NCAPとは、欧州のニュー・カー・アセスメント・プログラムのこと。第三者機関が、新車の衝突安全や予防安全について独自の試験を行い、その評価を一般向けに公開するシステム。これによって、自動車メーカーはクルマの総合的な安全性に対する研究開発に対する意識を高めることができると同時に、ユーザーはクルマの安全性という尺度でクルマ選びをできる。
Euro NCAPは2022年11月、NCAPの将来のあるべき姿について「ビジョン2030」を取りまとめており、自動運転や予防安全技術に関する試験の拡充の可能性を示してきた。そうしたなかに、HMI(ヒューマン・マシン・インタラクション/インターフェイス)に関する新しい取組みもあり、今回の物理スイッチについても、「人とクルマ」の関係性を改めて見直す機会になりそうだ。