この記事をまとめると
■バンコクモーターショーには中国メーカーが数多く出展していた
■中国メーカーにとって東南アジアはアレルギーのない国として進出しやすい背景がある
■出展希望メーカーが多く、中国メーカーだけでモーターショーができそうなほど活気がある
中国メーカーのターゲットは東南アジアだった
東南アジア地域における中国メーカーの積極進出がますます加速しているように見える。アメリカとはなにかと政治的に対立しているし、西ヨーロッパ諸国を中心としたEU(欧州連合)は、事実上中国系ブランドのBEV(バッテリー電気自動車)を対象とした規制を仕掛けてきており、思うように販売できない状況となっている。
そのなかでの有望市場として、中国メーカーは東南アジアに目をつけて積極攻勢を仕掛けているものと筆者は見ている。東南アジアは中国と国境を接している国もあるほど地理的に近く、経済的な結びつきも強い。しかも西側先進国ほど中国アレルギーというものが少ないので攻勢が仕掛けやすいのである。
第45回バンコクモーターショー(2024年3月下旬から4月上旬にかけて開催/以下バンコクショー)取材のため、タイの首都バンコク近郊を訪れたときに、同じくバンコクショー取材のために会場を訪れていた、ミャンマーのメディア関係者と話す機会があった。そのとき「ミャンマーで売れているBEVは?」と聞くと、「MG(上海汽車)が一番売れているね、その次はBYD(比亜迪汽車)になるよ」と答えてくれた。
正直、失礼ながら「答えられるほど台数は売れていない」といった返答かなと思っていたので、ミャンマーにもきちんと中国メーカーが進出しているのだなと思い知らされてしまった。
余談だがMG(つまり上海汽車)は中国系ブランドの先兵として市場開拓をしているように見える。2014年にいち早くタイに進出しており、インドネシアではMGと同じ上海汽車系のウーリン(上海通用五菱汽車)が、BEVだけではなくICE(内燃機関)車も従え市場進出している。
上海汽車系ブランドがまず地ならしをしたあと、BYDなどがドッという勢いで相次ぎ進出しているように、筆者が見聞きした限りでは見えた。