中身はガソリンに生コンに小麦粉にガス!? 意外と知らない「円筒型の特装」が施されたトラックの荷物 (2/2ページ)

遭遇したらじっくり観察したい!

 円筒形のボディを載せているのは、タンクローリーのほかにも粉粒体を運ぶことに特化したバルク車が存在する。正式名称は、文字どおり粉粒体運搬車。土砂やセメント、小麦粉などの粉粒体を袋に詰めることなく荷崩れさせずに運ぶために開発された特装車両である。一見しただけではタンクローリーと似ているが、バルク車には粉粒体を詰め込む口や排出口が存在する。さらにはLPガスを運ぶのはバルクローリー、粉状のセメントを運ぶ車両をバラ車と呼ぶなど、積荷や用途によって名称や構造が異なるところも特徴だ。

 そんなバルク車は、一般的に馴染みのない存在であるが、円筒形に近い形状のボディを搭載した生コン車は、誰もが一度は見たことあるだろう。コンクリート工場で作られた生コンを工事現場に運ぶトラックで、正式名称はアジテータトラック。だが、一般的には生コン車やミキサー車という呼称で知られているため、そう呼ぶことに問題はないだろう。

 積荷となる生コンとは、生の固まっていないコンクリートのことを指す言葉。生コンはおもにセメントと砂や砂利といった骨材、そして水からできているのだが、当然のごとくそれぞれの比重が異なる。そのためそのまま運ぶと比重の重い骨材は沈み込み、水は浮き上がって分離してしまう。そうなると工事現場でコンクリートを流し込めなくなるため、ドラムと呼ばれるボディをゆっくりと回転させ、生コンを混ぜ合わせながら運んでいるのだ。

 次に生コン車と遭遇したときは、可能であればぜひともじっくり見て欲しい。生コンが入ったドラムがゆっくりと回転していることが確認できるだろう。

 ひとくちにトラックといってみても、さまざまなスタイルが存在する。その部分を気にしながら日々を過ごしていると、きっとなにを運んでいるのか気になるような、謎めいたトラックと遭遇することだろう。そうしてトラックの奥深さを肌で感じていただきたいと思う。


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