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なんかタイヤが浮いてない!? 高速で見かける謎のトラックは「高速料金節約」のためだった

なんかタイヤが浮いてない!? 高速で見かける謎のトラックは「高速料金節約」のためだった

この記事をまとめると

■トラックは一部のタイヤを浮かせて走っていることがある

■一部タイヤを浮かせての走行はリフトアクスル機構によるものだ

■リフトアクスル機構の効果について解説

タイヤを浮かせると高速料金が安くなる!

 高速道路を走行していて、周囲を走るトラックやトレーラーを見て驚いたことはないだろうか。実際、いろいろなことで驚く(電飾とか……)だろうが、そのひとつにリフトアクスルというものがある。直訳すれば「浮かし車軸」だ。そう、車軸を浮かせているから、タイヤがもち上がって路面に接地していない状態になっている。走っているのにタイヤが浮いているのは、乗用車のドライバーから見ればかなり奇妙な状態だから、驚くのも当然だ。

 このリフトアクスル、見た目からして走行抵抗が少なくて燃費やタイヤの摩耗が抑えられる印象ではある。しかしメリットはそんなところじゃない。

 一番のメリットは高速道路の料金がおおよそ4割(!)も安くなることだ。これはどういうことかというと、大型トラックでも車両総重量が25tを超える4軸以上のものやトレーラーは、大型車ではなく特大型になって高速道路の料金が高くなってしまうのだ。

 重量がある車両が通過すれば道路が傷むので補修費用などを回収するのは当然のことだが、タンクローリーや重機運搬車など、往復のどちらかで空荷のまま走行するケースでは、特大型の料金を支払うのは運搬コストの増大につながってしまう。

 そこで、積載量が少ないときには車軸を持ち上げ、タイヤを設置しないようにすれば、特大型ではなく大型車の料金が適用されるため、高速道路の通行料金が安くなるのだ。

 ならば、荷物を積んでいるときも高速道路の料金所だけ車軸を上げて、大型車として通過すれば料金が安くなるのでは? と思った読者もおられるだろう。しかし、そんな不正はできないようになっている。リフトアクスルはドライバーが操作するのではなく、積載量を検知して自動的に作動するようになっているからだ。

 ちなみに高速道路のETCゲートでは車両の車軸数だけでなく、総重量が自動的に検知できる装置の設置が進められている。

 リフトアクスルは架装メーカーのオプション装備で、エアサスを装備したシャシーに追加することができる。費用はおよそ100万円前後だが、前述のとおり高速道路の料金が大幅に安くなるので、数年で元を取れてしまう。

 とくに車体が長く多軸なトレーラーの場合、小まわりなどする際にはタイヤの捩れが大きく摩耗も進んでしまうが、リフトアクスルを使えば捩れが大きい車体中心に近いタイヤが浮くので、タイヤの摩耗も抑えられ小まわりもしやすくなる。

 空荷の場合、燃費はかなり向上するがリフトアクスルによってタイヤの走行抵抗も減るので、燃費にも寄与する。欧州ではより大きな多軸車にも使われている。デメリットは制動力が不足する可能性があることだが、これは積載時と比べれば十分に利くので問題は少ないようだ。

 高速道路の深夜割引も見直されるようなので、リフトアクスル車はますます増えることになりそうだ。

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