見た目の「カッコ良さ」と「新鮮さ」がいかに重要かがわかる! 三菱トライトンがいま絶好調なワケ (2/2ページ)

トライトンの客層とその購入の理由とは

 トライトンの売れ筋グレードは、価格が540万1000円のGSRで、初期受注の88%を占めた。しかもユーザーには若年層が多い。20代が10%、30代は21%、40代は32%、50代が24%だという。40代までで全体の60%を超える。

 そしてこの世代は、昔のハイラックスやダットサンのピックアップをほとんど知らない。先代トライトンは2006年にいまと同じくタイ製の輸入販売を開始して2011年に終了したが、1カ月平均登録台数は30〜40台に留まった。ピックアップトラックが相応に人気を得ていたのは2000年以前だから、40代までの層にトライトンに懐かしさを感じるユーザーは少ない。

 どのようなユーザーがトライトンを購入しているのか。三菱の販売店に尋ねると以下のように返答された。

「トライトンの販売では、さまざまな車種が下取りに入る。先代トライトンやハイラックスもあるが、ハリアーやBMWのX3など、SUVを中心にいろいろな車種のお客様がトライトンを購入されている」。

 では、ピックアップトラックをどのように使っているのか。

「荷台に大きな荷物を積むお客さまは少ない。トノカバーを装着して、4名乗車時に手荷物を積む程度だ。つまり、普通の乗用車として使われている。大半のお客さまが、フロントマスクを含めて、外観のカッコよさに魅力を感じて購入されている」。

 トライトンのフロントマスクは、いまの三菱車に共通する「ダイナミックシールド」のデザインを十分に生かして魅力的に仕上げた。GSRでは荷台の左右にスタイリングバーも備わり、ほかのクルマとは違うトライトンならではの外観に作り込んだ。

 見方を変えると、トライトンが人気を得た背景には「いまのクルマはどれも同じように見えて退屈だ」という、ユーザーの不満もあるだろう。心に響く新鮮なクルマを開発すれば、いまでも売れ行きを伸ばせる。クルマを売るための一番の対策は、いまも昔も商品力で、トライトンの人気もそれを示している。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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