この記事をまとめると
■トラックはたとえ悪天候であっても荷物を運ぶために走らなくてはならない
■トラックは荷物を積んでいれば駆動輪に十分な荷重がかかるので滑りやすい路面でも走破する能力は高い
■駆動力と軽量さを兼ね備えた軽トラ4駆が走破性では最強ともいわれている
トラックは雪道に強いのか?
雪が降っても荷物を運ばなければならないトラックやバスは、悪天候でもガンガン走っているイメージだが、果たしてこうした働くクルマは雪道に強いのだろうか。そう考えたことがある方は少なくないだろう。
トラックは立ち往生したら業務に支障が出るから、冬対策も早めに行っている。関東でも11月あたりからスタッドレスタイヤに履き替えるトラックは珍しくない。むしろ、1年中スタッドレスを履いているトラックが増えているのだが、これは冬対策とは別の利用法だ。
そもそもトラックは荷物を積んでいれば駆動輪には十分に荷重がかかるので、トラクションを得やすく滑りやすい路面でも走破する能力は高い。トラックのスタッドレスタイヤは乗用車用のようにトレッドのブロックにサイプ(細かい溝)が入っていないが、接地荷重の高さと接地面積の大きさでグリップを得る仕組みになっている。
また、トラックドライバーのほうが、一般の乗用車ドライバーよりも運転に慣れていて、滑りやすい路面でも微妙なペダル操作などを行って運転するから、雪道に強いということにもつながる。やはり、仕事で毎日長時間運転しているトラックドライバーのほうが、全体的に運転は上達しやすいものだ。
だが、それも勾配の緩い道路までの話だ。勾配が大きくなれば上り坂も下り坂もトラックには厳しい状態となる。重量があることが難点となって、登れない、止まらないという状況に陥りやすい。その点では軽量な乗用車のほうが有利だ。
軽トラ4駆が走破性では最強な(だといわれることが多い)のは、駆動力と軽量さを兼ね備えているからで、大型トラックは平坦な路面では雪道に強いが、坂道では極端に弱くなってしまうこともあるのだ。
とはいえ、絶対的な走破性でいえば、トラックがやはり一番だという見方もできる。砂漠を越えていくラリーレイドのパリダカールラリーでは、トラックのカミオンクラスが抜群の走破性を見せつけている。スピードではラリーマシンに敵わないものの、走破性という点ではラリーマシンと同等か、それ以上の能力を見せつけることもある。
さらに、メルセデス・ベンツの多目的トラック、ウニモグの走破性の高さは有名なところだ。巨大なタイヤと4輪駆動、「門」型のアクスルと副変速機を備えたパワーユニットにより、道なき道でも進んでいける。雪深いところでもガンガン走っていける頼もしいクルマで、山岳救助隊など日本でも活躍しているほどだ。災害救助用の特装車もウニモグベースで製作されたモデルがある。
国内でも大寒波到来時には道路上で立ち往生する車両が続出している。立ち往生の発端は乗用車なのかトラックなのかも気になるところではあるが、1台が立ち往生してしまうと、後続車両もかわしていくために低速走行となり、スタックしやすくなってしまう。
トラックも乗用車も、雪がたくさん降るような状況下では、タイヤチェーンや非常食、飲料などを積み込んで、前方の車両が立ち往生して足止めを食らっても、ある程度耐えられるよう準備しておくことが必要だ。