この記事をまとめると
■デコトラに魅せられた人は少なくない
■デコトラ好きの趣味のひとつにプラモデルづくりが挙げられる
■“デコプラ”のディープな世界を紹介する
「デコトラ」の登録商標を持つ青島文化教材社が有名
デコトラに魅了されたマニアなファンたち。さまざまな楽しみ方があるが、そのなかのひとつにデコプラ自慢がある。そう、デコトラのプラモデルづくりだ。戦艦やガンプラなどがお馴染みの“プラモデルづくり”だが、デコトラもひとつのジャンルとして確立しており、多くの商品が存在している。そんな商品や、夜な夜な心血を注ぐ“デコプラ”モデラーたちの知られざるディープな世界を紹介しよう。
国内に数社あるデコプラのメーカーのなかでも「デコトラ」の登録商標を持つ静岡県の青島文化教材社が有名だ。コアなファンから初心者向けのユーザーフレンドリーな製品まで、精力的に次々と新製品をリリースし続けているデコプラ界のリーディングカンパニーなのだ。過去に発売された絶版のプラモデルは某オークションサイトではプレミア価格で流通することもあるほど。
デコトラ好きのモデラーたちは、大きく大別すると3つの楽しみ方があるという。まずはデコプラのキットモデルを、メーカーの意図するまま完成させる手法(素組み)。もちろん32分の1スケールのプラモデルなので実際のトラックと比較するとディテールを省略したり、プロポーションが異なる箇所もあるが、プラモデルの組み立て図を忠実に制作し、箱絵と遜色ない完成度を達成できるのが魅力だ。
ふたつ目が、モデラー自身の好みに改造を施した唯一無二なオリジナルのデコプラだ。違うモデルのキットパーツを転用したり、サードパーティの社外パーツを装着したり、プラ板の切り出し等で自作パーツを制作したりと、デコトラオーナーの気分そのままに、自分の好みを投影した妄想のデコトラ制作は夢中になれるという(スクラッチビルド)。
そして、近年注目を集めるのが「デコトラ実車再現モデル」だ。前述のふたつは技法だが、これは発想方法が違う。たとえば第2次デコトラブームのころに、モデラーが推していたいまはなき懐かしい有名車を再現する。はたまた現在稼働しているデコトラを、スケールダウンしてモデル化し、実車とのツーショットに収めるなど楽しみは無限大。
この場合、キット化されていないキャビンはフルスクラッチで制作したり、実車により似せるためにタイヤ位置をずらし、実車同様のプロポーションを再現したり、荷台の扉を開閉可能にしたり……とベースのキットパーツの面影を残さないほどに、リアルさの追求は創意工夫の連続だ。
三重県でデコプラミーティングの主催も務める有名モデラーの後藤正浩さん。子どもの頃はプラモデルの制作にハマり、30年ぶりにモデラーの世界にカムバック。キッカケはSNSで見たデコプラの完成度に惚れ込んだからという。いまでは毎晩、晩酌のお供のデコプラ制作が日課だ。デコプラとして再現したデコトラオーナーとの親睦が深まったといううれしいサプライズもあったそう。
完成後の楽しみに、モデラー仲間とのオフ会がある。共通の趣味を持つ仲間との談笑や、丹精込めた作品を眺めると刺激になって、さらに作品づくりに励んでしまうというデコプラスパイラルにハマるらしい。
いまや全国各地でデコプラのミーティングが開催されているので、最初の取っかかりとしては、SNSで情報を集め、見学してみることをオススメしたい。