EV社会の実現で電力の総括的な管理がしやすくなる
その上で、EVが普及することで「本当に世の中のためになる」ことについて私見を交えて補足する。それは、国や地域がそれぞれの社会環境に応じて「エネルギーの統括的な管理」ができることだ。再生可能エネルギーを使えば、エネルギーの地産地消が可能となる、という理想論がある。
また、電力はEV以外にも家庭や企業で使用する標準的なエネルギーなので、国や地域のエネルギーの需給を考慮しやすくなる。こちらも、理想論である。
だが、現実的には再生可能エネルギーのみでは、EV全数など日本全体の電力を賄うことは、現在の技術では難しい。だから、発電所で発電するためのエネルギー源は、天然ガス、石油、石炭、そして原子力、水力、地熱などを社会情勢や技術の進捗を見ながらバランスさせていく、というのが日本の方針だ。
それでも、電力を社会でどう分配するべきかという方法のなかで、EVでならば国として電力の総括的な管理がしやすくなるともいえる。
ガソリンやディーゼル燃料に比べて、外的要因による価格変動の幅を抑えることができる可能性もあるだろう。そのほか、EVを災害時の電源として利用できるという「いいこと」もあるが、災害時にEVで移動することと電源を供給することをどうバランスさせるのか、という根本的な課題もある。
EVが普及すると何がどういいのか?
本格的な普及期前のいまだからこそ、自動車メーカー、販売店、そしてユーザーは改めて自分なりに考えてみるべきだと思う。