この記事をまとめると
■バブル全盛期、後部座席がサロンスペースとなったサロンバスが人気を集めた
■いまデコトラ愛好家の多くがサロンバスを参考に室内を飾っているという
■運送会社が社員旅行などの際に活用すべくサロンバスにも再び注目が集まっている
ゴージャスすぎる室内に圧倒される!
日本中が好景気に包まれていた輝かしきバブル全盛期。兎にも角にも高級志向が蔓延し、移動手段である観光バスにもゴージャスなものが生み出され、人気を博していた。
なかでも後部座席がサロンスペースとなったサロンバスが人気を集めたのだが、その代表的な存在なのが、中央観光(現・株式会社ZIPANG.S.S)の「ZIPANG(ジパング)」である。車内には煌びやかなシャンデリアが多数取り付けられ、高級感満点の生地で張り巡らされた車内は、見る者の度肝を抜いた。
そんなZIPANGの車体には幾つかのバージョンが存在し、高級度を星の数で示した。それにより、7つ星や5つ星のバスなどが生み出されたのである。そんな豪勢なサロンバス(車両とその運営会社)も、バブル崩壊とともに下火になっていったのだった。
それから30数年を経たいま、かつてのゴージャスなサロンバスを参考に、デコトラ愛好家たちが車内を豪華に飾るようになる。そのスタイルは豪華なサロンバスが姿を消したいまでも変わることなく細く長く受け継がれており、いまではデコトラの重要なカスタム手法として認知されているほどだ。
そして現在では、運送会社などが社員旅行などの際に活用すべく、再び豪華なバスの製作に励んでいる。その大半は、ご多分に洩れずデコトラを所有する運送会社だ。またはデコトラ好きや愛好家たちが個人でサロンバスを所有するケースも見受けられるほど、ブームとなっているのである。
あくまでも当時の豪華な観光バスを目標とする彼らは、近代的なフォルムを持った高年式のバスには興味を示さない。そのため、昭和生まれの旧車が脚光を浴びているのだが、当然のごとく性能や機能面、快適さにおいては最新の車両には遠く及ばない。それでも、当時のスタイルを参考にしながら架装やメンテナンスに励んでいるのだ。昭和さながらのサロンやラウンジを思わせるようなカーペットにキラキラと揺れ動く大きなシャンデリア。ゆったりとしたシートレイアウトに小ぶりのテーブルなどなど。
最新のバスは高価だということも敬遠される要素のひとつだろうが、真新しいサロンバスでゴージャスなインテリアを持つ車両もまた、ぜひとも拝見してみたいもの。当時を再現し、旧車を美しく維持することも大変であるが、新たなスタイルを生み出す猛者が現れることも、心のどこかで期待している。
そうして豪華なサロンバスブームが長く続き、いつの日かバブル期のようなサロンバスが営業車として活躍してくれるほどに、好景気な時代になることを、祈りたい。