バニングブームがすぎると街道レーサーが人気を集めるように
そんなバニングのブームが過ぎ去った現代では、国産の旧車をベースにした昭和の暴走族仕様、いわゆる街道レーサーが人気を集めるようになった。厳密には昭和の時代からデコトラ乗りに人気のジャンルだったのだが、当時はバニング人気が凄まじかったため影を潜めていたのである。それに加えて、近年では旧車が大きなブームとなっている。そのため、デコトラ乗りが旧車を所有するケースも多くなっているのだ。
そんな街道レーサーは、デコトラと同じく日本発祥の文化。シルエットフォーミュラというレースで活躍したマシンに憧れた若者たちが、愛車をデッパや巨大なエアロパーツ、タケヤリマフラーなどで過激に改造したのがきっかけだと言われている。
街道レーサーという名称は、1980年代に創刊された自動車雑誌のコーナー名から定着したもの。ほかにもカラフルなカラーリングと控えめなエアロパーツでレーシーにキメる、福岡仕様と呼ばれる改造スタイルも人気を集めていた。
バニングは(デコトラ好きも)多かったけれど、バニングと兄弟関係にあったトラッキン(おもにアメ車のピックアップトラックのカスタム)は、デコトラ乗りには不評だった。そもそもアメリカの文化をそのまま採り入れた内容であったため、和を好むデコトラ乗りには浸透しなかったのだろう。
そして暴走族仕様の進化版ともいえるVIPカーも、デコトラ乗りには意外にも好まれなかった。これもまた、不思議な部分である。
結局は個人の好みなのだが、当時といまを知る人たちからすれば、過去はバニング、現在は街道レーサーがデコトラの兄弟ジャンルである、といっても異論はないのではなかろうか。
そんなデコトラとバニング、街道レーサーには実用性や空気抵抗よりも見た目重視、そして内装にもこだわるといった部分が一致する。さらに、デコトラと街道レーサーは日本発祥の文化である。そのような共通点も、デコトラ乗りに愛されている要因であるのかもしれない。