この記事をまとめると
■趣味のクルマとしてトラックを所有している人の多くは筋金入りのデコトラマニアだ
■趣味のデコトラは内部を部屋にしてキャンピングカーや事務室車として登録している例も多い
■趣味のデコトラが増えたのには仕事用トラックを飾りにくくなったという事情も背景にある
平成後期になるとデコトラは敬遠されるように
トラックとは、荷物を運ぶために生み出された文明の利器である。しかし、なかには好きが高じてプライベートでトラックを所有するというマニアも全国各地に存在する。そう聞くと、トラックをベースにしたキャンピングカーを思い浮かべる人がいるかもしれない。この場合はトラックが好きだからという動機で所有するケースは少ないだろう。三菱のローザやトヨタのコースターなどのマイクロバスであれば大きいし、トヨタのハイエースや日産キャラバンなどのバンでは小さい。そう考えた人が、三菱キャンターやいすゞエルフなどのトラックがベースのキャンピングカーを選択するのが一般的だからである。
そうなると「趣味でトラックを所有する」のはなぜ? と思う人も多いのではないだろうか。その多くは、筋金入りのデコトラマニアたちである。トラックの総数よりも物量が多く景気のよかった昭和の時代では、派手なトラックで仕事をすることが許されていた。世間の人たちにも心に余裕があったせいか、飾ったトラックで現場に行けば歓迎されたというケースも少なくなかったのだ。ギンギラギンに飾られた婚礼家具輸送のトラックも、大車輪の勢いで活躍していたのである。
しかし、平成後期になると風向きは一変する。規制緩和によって新規参入する運送会社が増え、トラックの数が増えすぎたことで、ドライバー天下ではなく荷主天下の時代に変わってしまう。そのため、派手なトラックは即座に出入り禁止を食らったりしてしまうなど、とにかく敬遠されるようになったのである。
かくいう筆者も、過去に大型トラックのハンドルを握っていたのだが、納品のために訪れた大手企業の受付で守衛にウインカーの点滅回数を数えられたことがあった。ちなみに、ノーマルのトラックであったにもかかわらず、である。
「1分間で60回以上120回以下点滅しないと、違反ですからね」。
そのような指摘を受け、足止めを食らったのである。聞けば何台かごとに計っているとのことだったが、筆者のうしろに並んでいた数台のトラックが先に受付を済ませ、荷下し場所に案内される始末。当然のごとく筆者のウインカーそのものに問題はなかったのだが、無駄に足止めをされて順番を抜かされたにもかかわらず、お礼や謝罪の言葉すらない。世間では立派な企業だと称されている大手であっても、このようないい加減な現場対応だったりするものなのだ。
しかし、不満げな態度や言葉を発してしまうと在籍する運送会社にクレームが入り、会社自体が仕事を失ってしまうことになる。これは決して大げさな話ではなく、トラックドライバーはそのような状況下に置かれているのだ。