受け入れてくれる荷主がどれほどいるか
提言には標準運賃の8%アップのほか、荷待ち運送以外の荷役業務などを切り離して積み込み料、取り卸し料などを加算することのほか、高速道路を利用しない場合の割増料金や下請け手数料の設定も盛り込まれているが、これが実施されれば運送業者は大喜びで、経営もラクになることだろう。
しかし現時点でも公に設定されている標準運賃と実態はかなり乖離しているだけに、素直に従ってくれる荷主はどれだけいるのだろうかという印象は拭えない。
製造業や商社、卸売業などトラック輸送を利用している企業は多岐に渡るが、好調な業績を上げている企業であれば、運賃上昇に対応できる余力がありそうなものだが、コストに対する要求はどこも厳しいだけに、よほどのことがなければ、実質的な値上げに対応してくれるところは少ないだろう。
「笛吹けど踊らず」という状態にならないためには、やはり会社名の公開などではなく、罰金刑などを導入して、ルールを守らないと最終的には損をするという意識にしていかないと難しいのではないだろうか。
荷主あっての運送業界から、ドライバーあっての運送業界へとシフトしていかなければ、物流は崩壊してしまう。
実際にトラックドライバーに対して不当な労働条件を課したりすれば、運送業者の方は行政処分の対象ともなりうるだけに、これからは荷主への働きかけを本気になってやらなければならないだろう。
ともあれ、これまでの物流のスピード感や確実性を維持していくなら、それなりのコストが要求される時代になることは間違いなさそうだ。