この記事をまとめると
■国土交通省がトラックの標準運賃を平均8%引き上げると発表
■国から平均標準運賃値上げの発表はあったがとくに法的な拘束力をもつものではない
■トラックドライバーの待遇改善につながる可能性について考えた
標準運賃を平均8%引き上げる提言……もさしたる罰則なし!
トラックドライバーの社会的地位が低いことは、人材不足の原因のひとつであり、給料などの待遇面がよくないことも不人気となってしまった要因だ。トラックドライバーの給料が低いのは、その母体となる運送業の企業自体の収益性が低いことが最大の理由だ。
運送業への参入が容易になって、中小企業が増えたことで価格競争になってしまったことも大きな要因だが、取り扱う荷物が増えていることを考えると、参入業者の増加は必要な流れだ。
さらに、2024年問題といわれている働き方改革への対応として、この4月からは残業時間の上限が制限されることから、ドライバーの給与が下がり、転職しなければならない人も出てくることが予想されている。
これまでも国土交通省は不当な値下げ圧力や長い荷待ち時間などの是正を図るべく「トラックGメン」を創設し増員までして、運送業界の不適切な取引を監視している。また、距離などに応じた適正運賃を定めて、それに準じた運賃に引き上げるよう働きかけているが、実効性はまだまだ低いのが現状だ。
にもかかわらず、先ごろ国土交通省はトラックドライバーの待遇改善を実現するべく、運賃の平均8%アップを提言した(2024年6月から施行)。これは法的な拘束力を持つものではなく、あくまで目標として掲げただけで、従わない場合は企業名の公表などがされる程度にとどまる。どんな意図があるのだろう。