新しくなったクワトロが左右輪のトルクを自在に振り分ける! アウディ S3がマイナーチェンジを実施 (2/2ページ)

RS3譲りの「トルクスプリッター」搭載でクワトロが進化

 今回のマイナーチェンジで、RS3に搭載されていた「トルクスプリッター」が搭載された。これはリヤのディファレンシャルの左右の出力軸の部分に多板クラッチを配置することで、左右輪に伝えるトルクを自在に分配するシステムだ。これによって運転状況とドライブモードに応じて車両の挙動を大幅に変えることができる。

 よりクルマを曲げる方向にもっていきたいとき、トルクスプリッターは外輪に多くトルクを流す。しかし万が一クルマがスピンモードに突入した場合には、内輪にトルクを多く伝え挙動を安定させることができるのだ。これにより、旋回性能と安定性という相反する要素を同時に持ち合わせることに成功した。

 また、アウディドライブセレクトと呼ばれるドライブモード選択システムに、モデルチェンジ前からあったオート、コンフォート、ダイナミック、インディビジュアル、エフィシェンシーの5つに加えて、ダイナミックプラスモードをが加えられた。これを選択すると、トルクスプリッターによるトルク配分調整によって、オーバーステア傾向のコーナリングが味わえる。

 このモードではこのほかにも、エンジンのアイドリング回転数が200rpm増加して1300rpmとすることで、加速性能を高める制御が入る。これ以外でもスロットルレスポンスと変速レスポンスが向上するほか、トランスミッションも高い回転数を維持するような変速制御を行う。

 こうした最新装備で安全マージンを増したS3には、フロントを強める方向のセッティングが施された。フロントのネガティブキャンバー角は増し、ロアアームブッシュが固められ、よりクイックなハンドリングと高いフロントグリップを得た。

 今回のマイナーチェンジを経て、スポーツモデルとしての素養を大きく高めたS3。昨今競争が激しい2リッターCセグメントスポーツモデルのなかで、S3はその立ち位置をさらに確固たるものとした。


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