高速で動物なんて見かけない……と思っていたらなんと年間5万件も起こっている! 高速での「ロードキル」の実態とは? (2/2ページ)

動物たちの生活環境がなくなって道路上に出没している

 高速道路でのロードキルが増えている背景として、インフラ整備が進んでいることが大きいとされています。国土の約7割が森林となる日本では、どうしても山間部を切り開いて道路を作ることになってしまうので、その地域に生息している野生動物とどう共存していくのか、十分に検討し対策することが求められます。

 また、人間の身勝手な行為による環境破壊が生態系を崩し、シカやタヌキが急増していることもロードキル増加の原因といわれています。

 2021年度には野生のシカ捕獲数が過去最高の72万5000頭にまで増えており、そのシカがエサとして好む植物が激減することによってミミズが増え、そのミミズを餌とするタヌキが増えるという図式。タヌキは近年、東京都心部でも目撃情報が増えており、ロードキルのもっとも多い被害者となっています。

 高速道路を走る際には、自然の多い地域だけでなく都心部でも、もしかしたら動物が飛び出してくるかもしれないという心づもりで、つねに用心しながら運転することが大切です。

 なお、ロードキルを起こさないための対策としては、事前に道路各社や自治体がホームページなどで注意喚起を行っていることがあるため、目的地までの情報を確認したり、動物注意の標識の付近では速度を落とし、いつでも対処できる構えで運転すること。また、タヌキをはじめ夜行性の動物は、夜間に道路に飛び出してくる可能性も高いので、ハイビームを積極的に使うと遠方でも動物の目が光って発見しやすくなります。

 シカなどの大型動物と衝突してしまうと、車両の損害が大きくなったり、人間が死亡する事例も上がっています。慢心せず、「いつ出てくるかわからない」という心構えで運転したいですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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