この記事をまとめると
■エンジンは基本4バルブだが一時期5バルブを搭載する市販車が存在していた
■5バルブになると空気量が増えるので高性能エンジンだと謳いやすい
■燃焼室の形状や部品点数の少なさで4バルブのほうが普及していった
F1や軽自動車にも採用された5バルブエンジン
エンジンは、吸気量を多くするほど馬力が上がる。象徴的なのが過給だ。ターボチャージャーやスーパーチャージャーは、空気を圧縮して密度を高めることで、燃焼室内の空気量を強制的に増やす装置である。
自然吸気エンジンでも、吸気量を増やす手段としてバルブ数がある。一般に4バルブが採用され、吸気側ふたつ、排気側ふたつという配列だ。なおかつ、吸気バルブの径が大きくなっている。かつては、DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)エンジンでも、2バルブだった。1980年代から、DOHC4バルブエンジンが増えだし、現在はそれが当然の基本諸元となっている。
そうしたなか、5バルブというエンジンを開発したのがヤマハだった。F2(フォーミュラ・ツー)レース用エンジンに、吸気側3、排気側2のバルブ配置を用い、4バルブのホンダエンジンと雌雄を決した。互いに年(レースシーズン)を変えてチャンピオンを獲得している。その後、5バルブはヤマハのF1エンジンにも採用された。
市販車では、三菱ミニカ、トヨタのカローラ/スプリンター、フェラーリF355、アウディA3・A4、VWポロGTI、ブガッティEB110(この場合は排気側が3バルブ)など、さまざまなクルマに採用された経緯がある。