モータースポーツの世界でも目立った戦績を残せず一代限りで消滅
実際、1994年からはじまったJTCC[全日本ツーリングカー選手権](2リッターエンジンで2WDの量産4ドアモデルで競うツーリングカーレース)にも、ランティス・タイプRをベースにしたマシンを擁し、ワークス体制で参戦している。
別名「喧嘩レース」と呼ばれたJTCCには、トヨタ、日産、ホンダといった3大メーカーもワークス参戦。2リッター最速の座をかけたガチンコの勝負となった。ただし、ライバルが4気筒エンジンだったのに対し、マツダはフロントヘビーなV6エンジンを搭載したことがレースマシンとしてはウィークポイントとなり、目立った戦績を残すことはできなかった。
さらに、ランティスの誕生から2年後の1995年には、ホンダがインテグラに「タイプR」を設定。手作業でポート研磨した1.8リッター直4VTECエンジンの最高出力は200馬力を誇り、量産FF車というカテゴリーでもランティスの存在は霞んでいくことになる。
そうしてフルモデルチェンジすることなく1997年には生産終了、マツダ・ランティスは一代限りで消えることとなった。
しかしながら、あらためてランティスのスタイリングを見ると、5ナンバーサイズの幅とは思えないほどワイド感があるもので、無国籍風のフロントマスクは十分にレベルが高いといえる。とくにグリルレスとしたクーペのデザインは、新しいマツダのEVといわれてもおかしくないくらい現在でも通用しそうな印象を受ける。
冒頭で記したように、国内でアニソンなどの印象が強く、グローバルに見れば他メーカーの社名を思わせるため、「ランティス」という名前が復活することは考えづらいが、いまのマツダとは違う方向の、この時代のデザインテーマについては復活を期待したいと思ったりするのだが、いかがだろうか。